[原子力産業新聞] 2001年5月31日 第2089号 <4面>

[書籍] 住民投票研究で報告書

各事例を包括的考察

27日に刈羽村でプルサーマル計画の賛否をめぐって住民投票が行われたが、原子力を争点とした住民投票としては、発電所建設の賛否をめぐり1996年に巻町で行われた前例がある。その結果、計画が凍結状態となっていることは周知のとおりだ。

その後も各地で、産業廃棄物処分場の設置や米軍基地の移転などをめぐって住民投票が実施され、地域有権者の直接参加によって問題解決の糸口を得ようとする動きとして、投票結果に法的な拘束力はないながらもしばしば注目を集めてきた。

本著「住民投票制度に見る諸相」では、過去の資料や文献に基づいて、住民投票制度に関する包括的な学問的考察を試みている。

第一編で、昨年6月までに公表された住民投票に関する学問的あるいは法律的な文献に基づいて、住民投票制度そのものの仕組みや合法性、発案手続きなどを解説するとともに、文献に論述されている論点をとりまとめている。

第二編では、条例による過去の住民投票事例 (原子力発電所、沖縄米軍基地、産業廃棄物処分施設) を整理・検討しながら、その影響などについて考察を加えている。

本著は、技術社会における法律実務の諸問題の調査研究を進めている「科学技術と法実務」研究会に所属する7名の弁護士が研究報告としてまとめたもの。

A4判、205頁。頒価1500円 (税別)。問合わせは日本原子力文化振興財団企画課 (電話 03-3504-1382) まで。


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