[原子力産業新聞] 2001年6月7日 第2090号 <2面>

[福島県] 県民の意見聴く会を開催

「エネ選択は原子力に」

今後のエネルギー政策全般を見直す方針を打ち出している福島県は5月31日、福島市の知事公館で「県民の意見を聴く会」を開催した。

これは佐藤栄佐久福島県知事が、エネルギー政策を見直すには「まず県民の意見を聴きたい」と企画したもので、平日の開催にもかかわらず、多くの県民が参加。同知事は冒頭の挨拶で、「(今回出された意見は) 今後の検討の参考にさせていただく」と述べるとともに、「日頃考えている率直な意見を聴かせてほしい」として、意見発表者に忌憚のない意見を述べることを求めた。

今回意見を述べた住民は12名。「これからのエネルギー選択は、限りある資源の活用と地球環境の面から考えるべき。現状を考えると、エネルギー選択は原子力になると思う」(浪江町・女性) 「新エネルギーが使えるようになるまでは、原子力に頼らざるをえないのではないか」(保原町・男性) 「20世紀に人類が犯した罪は、森林を無くしたことと核に手を染めたこと」(相馬市・女性) といった原子力の是非論に加え、「プルサーマルをこれ以上長引かせる事は混乱を招く。粛々と進めるべき」 (大熊町・男性) 「プルサーマルは、使用するプルトニウム量が少なく、これはリサイクルとは言えない」 (相馬市・女性) など、新潟県刈羽村での住民投票直後に開催された影響もあり、福島第一原子力発電所・3号機で計画されているプルサーマルについての意見も多く出された。

また、福島第一原子力発電所では現在、7・8号機の増設が計画されていることを受け、「現在、不況で困っている。浜通り地区全体を含めて、増設をお願いしたい」 (大熊町・男性) 「燃料電池の開発は進み、人類は減っているのに、何故、原子力発電所を増設するのか」(相馬市・女性) など、増設への賛否の意見や、「消費地には、電力供給県への感謝の念がない」「他の地域の人は、エネルギー政策について何も考えてくれない」など、消費地と生産地の温度差に対する意見。また、「今後は国民と立地点住民に分かりやすく説明する場と、一人ひとりに考えてもらえるような情報を出す事を検討してほしい」など、今後の課題を示す意見も出された。

福島県では今回出された意見も参考にしながら、6月中にも県庁内の検討会を開き、エネルギー政策見直し作業を本格化させる。


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