[原子力産業新聞] 2001年6月14日 第2091号 <2面>

[原環機構] NAGRA と高レベル廃棄物管理で協力協定結ぶ

情報交換、共同研究など実施

原子力発電環境整備機構とナグラ (Nagra・放射性廃棄物管理共同組合、スイス) は5日、高レベル放射性廃棄物管理分野における技術協力協定を締結した。ナグラの本部があるスイスのベッチンゲンで同機構の外門一直理事長とナグラのハンス・イスラー理事長との間で協定の調印が行われた。(1) 地質環境の選定と特性調査に関わる方法論及び手法 (2) 処分場と人工バリアに関する工学技術 (3) 地層処分システムの性能評価に関する方法論と手法 (4) 情報の品質管理と品質保証 (5) パブリックアクセプタンスと信頼性の形成−について情報交換、施設訪問、共同研究、人事交流等が相互に行われる予定。

ナグラは1972年に設立され、スイスで発生する全ての放射性廃葉物処分に係わる研究開発と地層処分のスイス国内での実現性明示、処分サイト選定とその適合性評価、予定地での特性調査に係わる許認可申請と調査、および処分に関する社会的合意形成のための活動を展開している。

スイスでは1999年に連邦政府の諮間機関エクラ (EKRA) が、スイスにおける放射性廃棄物の最終的な解決策として、長期の中間貯蔵ではなく地層処分とすることを勧告し、処分に至るまでのプロセスとして、処分と平行して同じ地下空間での長期監視による安全確認の段階を設置することを求めた。ナグラは、これらの勧告を受け、2002年を目途に、処分概念を構築し、スイス国内における地層処分の実現候補地が存在する報告書を作成中だ。

スイスの高レベル放射性廃棄物処分プログラムは、返還ガラス固化体及び使用済み燃料の中間貯蔵施設 (ZWILAG) が操業され、今後40年ほどの貯蔵能力があることから、経済的な判断も含めて処分そのものは2040年から50年頃の開始を計画している。また、プログラム全体の規模が小さいこともあり、基本的にはスイス国内での処分を原則としているが、他の国と共同で処分する概念についても選択肢のひとつとしているという。


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