[原子力産業新聞] 2001年6月28日 第2093号 <1面>

[総合科技会議] 来年度資源配分−4分野を重点化

エネルギーは「重視」領域

総合科学技術会議 (議長・小泉純一郎首相) は26日、来年度の科学技術分野の予算や人材等への資源配分などに関する国の重点化戦略を示す方針案を打ち出した。

今年3月に閣議決定された科学技術基本計画を着実に実行することを前提とし、科学技術政策の戦略的重点化と科学技術システム改革を行うことを掲げる一方で、研究開発の効率化に向けた整理・合理化が必要だとの姿勢を示している。

来年度に向け、重点的に取り組む分野として、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジーの4分野を挙げ、メリハリをつけた研究開発資源の配分を促す考えを明確にした。そのほか、エネルギー、製造技術、社会基盤、宇宙・海洋は国の存立に基盤的であり重視すべき研究開発の領域としている。エネルギーについては、多様化や省エネ、原子力等をエネルギー分野の科学技術全体の中で位置づけ、評価・重点化を図る。特に原子力は安全に関わる技術が評価・重点化の対象として挙げられた。

また、この日の会合では、小泉総理が国際熱核融合実験炉 (ITER) 計画に対して発言。核融合は「長期的に重要な」エネルギーとの観点から、前向きに取り組むことが大事との認識を示した。

一方、尾身幸次科学技術政策担当大臣は会合後に開かれた記者会見で、原子力委員会の決定を考慮した上で、ITER の我が国への誘致について総合科学技術会議としての結論を8月に出す意向を明らかにした。なお、ITER 計画は来年度の重点化戦略とは切り離して考える必要性があることが示唆された。


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