[原子力産業新聞] 2001年6月28日 第2093号 <1面>

[環境省] 排出量削減で報告書

国内対策でケーススタディ

環境省は25日、温室効果ガス排出量削減シナリオ策定調査の報告書をとりまとめて発表した。

日本が京都議定書を批准するため、国内でどのような対策が必要か、また温室効果ガス削減の効果がどのくらいかを、4つの異なる社会発展の方向性を想定したケース別にモデル推計した。結果、2030年までの想定をした場合、想定ケースごとの温暖化ガス排出量に50%もの相違があり、個々の温暖化対策を論じるより、むしろ社会の発展の方向性とともに総合的な検討をする必要性が浮かび上がってきたという。

1つめのシナリオはグローバルな経済競争が進む世界市場主義シナリオでは、経済合理性、効率性が重視され、エネルギー面では規制緩和による競争激化で化石燃料の割合が大きくなるとみている。また日本の現行のライフスタイルが踏襲されていく2つめのシナリオでは、現在の状況の延長線上でゆるやかな成長を想定、エネルギー政策としても従来からの安全保障の観点から原子力発電が継続するとしている。3つめのシナリオは環境技術牽引シナリオとして、分散型電源等の普及などを含めて天然ガスを中心としたエネルギー構成になるとしている。4つめは、地域に持続可能な生産圏を含む生活圏が自立して共存する社会を想定。エネルギーはコスト高でもリスクが低いエネルギーシステムが選択され、小規模・分散型へとシフトしていくとの想定を行っている。


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