[原子力産業新聞] 2001年6月28日 第2093号 <4面>

[発電技術機構] 熱除去の安全性実証

熱水力特性試験で成果

原子力発電技術機構はこのほど、1989年から実施してきた BWR 新型燃料集合体熱水力試験の成果を取りまとめ、発表した。

試験は経済産業省が同機構に委託して、高燃焼度9×9燃料集合体の安全性実証試験として熱水力特性を明らかにする目的で行われたもの。2000年度末で試験が終了し、その結果、(1) 実規模で実施した模擬試験により、燃料棒からの熱除去の安全性を実証し、安全審査の妥当性を確認した (2) 原子炉内部の冷却材の流動特性の評価式を提案した−ことが成果として得られた。

試験は、原子炉と同様の高温高圧条件を作り出せる同機構磯子工学試験所の熱水力試験設備を使用して実施。実際に用いられる新型燃料と同一の形状と寸法の集合体を使い、電気による加熱で発熱の状態を調べた。

そのうち燃料集合体の限界出力試験では、冷却材の流量や温度等による限界出力の変化の具合を確認したほか、異常な出力変化を模擬して過渡的影響を調べた結果、出力に過渡的な変化が生じても燃料棒からの熱除去は十分に可能であることが分かった。また、加速度センサーを用いて運転中の冷却材流量の変化により燃料棒がどう作動するかを確かめた結果、異常な振動発生は見られなかったという。

こうした試験で得られたデータを基に、同機構では新たに流動特性の評価式を提案。今後、沸騰遷移における過渡的な流動メカニズムの解明に基礎的データとしての活用が期待されるとしている。


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