[原子力産業新聞] 2001年6月28日 第2093号 <4面>

[原子力安全保安院] 総合防災訓練の有効性を確認

情報共有機能などに課題

経済産業省・原子力安全・保安院は13日、2000年度に実施した原子力防災訓練の実施結果を発表した。

対象となったのは、昨年10月28日に国、地方公共団体、原子力事業者、その他 (参加人数計・1869名) の参加のもとに、中国電力の島根原子力発電所で行われた訓練で、(1) 国、地方公共団体、原子力事業者などが具休的な事故想定の下に原子力災害対策特別措置法等関係法令、防災基本計画等の枠組みに従った各種所要動作の訓練を実施し、緊急時対応の習熟を図る (2) 原子力事業者の通報、原子力緊急事態宣言発出、原子力災害合同対策協議会の設置・運営にかかわる実施訓練、手続きの確認等の実施 (3) 原子力災害対策特別措置法の施行に伴い、新たに策定・改定された防災基本計画、各省庁防災業務計画、地域防災計画、原子力事業者防災業務計画等の核種規定類の実効性を検証し、今後、より実戦的なものに改定するための課題の抽出 (4) 地域住民の訓練参加により、原子力防災および原子力安全に対する理解の向上を図る−ことを目的に、「東京における訓練」(通商産業大臣が行う原子力緊急事態の判断から内閣総理大臣への報告、告示・指示案の提出、また首相が行う原子力緊急事態宣言の発出等にかかわる訓練ほか5項目)、「輸送訓練」、「現地における訓練」(原子力災害現地対策本部の設置運営訓練、緊急モニタリング訓練、住民の非難など措置訓練の他6項目) が、内閣総理大臣、関係大臣、原子力安全委員長、知事など地方公共団体首長、原子力事業者などの参加のもと、原子力災害対策特別措置法の枠組みに沿ったかたちで実施された。

総合評価として原子力安全・保安院では、国や地方公共団体、事業者などの適切な連携の確保などがおおむね有効に機能し、全体として特別措置法の枠組みに沿って体系立てられた手続きの有効性が確認出来るなど、各種訓練において、関係機関の手続き、連携などの有効性が確認できたとしている。

一方、同院では今後改善を要する事項として (1) 原子力災害対策本部事務局のスペース、通信機器の増強、現地オフサイトセンターの通信機器の向上 (2) 中央および現地オフサイトセンター全体での情報の共有や意思決定の機能の向上−などを中心に、計44の課題を抽出。今後の取組への方向性を明記している。


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