[原子力産業新聞] 2001年7月12日 第2095号 <1面>

[原子力安全委員会] 原子力安全の政策評価を実施

施策の説明責任、今年度から強化

原子力安全委員会は、同委員会の政策に対する今年度の評価作業に本格的に取りかかった。中央省庁再編を機に政策評価を強化するとの政府方針に沿って、内閣府としての原子力安全政策を評価する。あわせて、同委員会では評価の客観性を高めるために、外部学識者で構成する政策評価会議を発足させ、10日、初会合を開いた。今後4つの政策目標の達成度について精査、総合的に評価を実施していく。

政府省庁の政策評価については、今年1月に「政策評価に関する標準的ガイドライン」が政策評価各府省連絡会議で了承されている。これを受けて、原子力安全委員会を含め内閣府全体としても政策の評価に積極的に取り組むこととしたもの。

「原子力の研究、開発、利用に関する国の施策の計画的遂行にあたり、民主的な運営の下、原子力安全の要として万全の安全の確保を実現する」ことを任務として掲げる安全委員会が進める4つの政策 (1) 原子力の安全確保に関する知的基盤の整備 (2) 原子力施設の安全確保 (3) 原子力災害対策 (4) 国民の信頼の獲得−について評価を加える。実施要領に定められた政策評価の方式は実績評価、事業評価ならびに総合評価に分かれているが、今年度の安全委員会に関わる政策評価は実績評価に基づいて行われる。

評価作業は安全委員会事務局自身が実施する。得られた評価の客観性を高めるために、第三者機関の意見などを聴くことが重要とされていることから、外部有識者による政策評価会議を設置・開催することに至った。

この日の会議には、安全委員会から委員5名のほか、外部からの有識者として、大橋秀雄日本工学会会長・工学院大学学長、ジャーナリストの大宅映子氏、G.クラーク多摩大学学長、小早川光郎東京大学教授、山之内秀一郎宇宙開発事業団理事長らが出席した。

冒頭、松浦祥次郎委員長が挨拶し、「委員会としては、JCO 事故以来率先して説明責任を果たすよう努力してきた。常に委員会自体の活動を真摯に省みることが大事だ」と述べるとともに、今回行われる政策評価の中立性を担保するねらいから評価会議を発足させたことを紹介。会議からの意見を今後の安全対策に反映していきたいとの考えを示した。

政策評価作業はこの後、年度末まで行われ、作成される評価報告書案に対して客観性を確保する観点から、評価会議としてのチェックが加えられた上で、最終報告書がまとめられる予定だ。


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