[原子力産業新聞] 2001年7月12日 第2095号 <1面>

[原子力発電] CO2 総発生量はわずか22グラム

環境優位性高まる

電力中央研究所は、原子力発電ユニットが建設から運転〜廃止措置が終了するまでの間に放出する C02 の総量を、「ライフサイクルアプローチ」手法によリ評価。結果、原子力発電はキロワット時 (送電端) あたり、22グラムの C02 しか排出しないことが明らかになったことを発表した。

電中研では、電源別の C02 総発生量の計算結果として昨年3月に、それぞれキロワット時あたりで石炭火力975グラム、石油火力742グラム、LNG火力608グラム、LNG 複合519グラム、太陽光53グラム、風力29グラム、原子力28グラム、地熱15グラム、水力11グラム、ライフサイクル C02 を発生すると公表していた。しかしその中で、原子力発電についてはデータが十分に得られなかったために、「ウラン濃縮を全て、火力発電の多い米国においてガス拡散法により行う」とともに、「使用済み燃料は再処理しない」との前提で試算をしていたことも合わせて明らかにしており、昨年の発表時にも、「もし、わが国で遠心分離法を用いて濃縮した燃料を用いるならば、ライフサイクル C02 は3分の1程度に減少すると考えられる」と、発生量が更に低くなる可能性を示唆していた。

今回発表された数値は、わが国の現状および近い将来を考慮に入れて分析したもので、前回のものよりもより一層、現実に近づいている点が特徴。具体的には (1) わが国の原子燃料サイクルシナリオに基づき、諸施設の建設、原料の採掘から発電燃料の製造、運用 (発電) 、放射性廃棄物の処分、廃止措置まで、全ての過程を含む (2) ウラン燃料の濃縮を行う国を、現状 (米国約7割、フランス約2割、日本約1割) に合わせ、また使用済み燃料は国内で1回だけ再処理する (ウラン新燃料を3分の2、MOX 燃料を3分の1利用) −との前提で、分析を実施している。

結果、原子力発電のライフサイクル C02 発生量は、22グラム・ C02/キロワット時となり、前回公表値 (28グラム・C02/キロワット時) よりも大幅に減少したが、この結果について電中研では、「ウラン濃縮を火力発電の割合が高い米国だけでなく、現状に合わせて原子力発電の割合が高いフランスと、遠心分離法を利用しているわが国で実施するとしたために、濃縮時の C02 排出量が減少した」、「使用済み燃料を再処理して再び発電に利用するとしたため、その分の濃縮が不要となる」ためと分析している。

なお今回発表された数値は BWR のもので、PWR については現在集計中。早ければ8月中にまとまる予定ということだ。


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