[原子力産業新聞] 2001年7月12日 第2095号 <2面>

[中環審] 環境目標達成可能と見通し

原子力発電の稼働率向上も検討

環境相の諮問機関である中央環境審議会の地球環境部会は9日、わが国の環境目標達成シナリオなどをとりまとめた。

小委員会を設けて、2010年までの温室効果ガス削減の見通しをケース別に検討してきた。COP6 で合意された京都議定書に盛り込まれた日本の環境目標は2010年度に、1990年レベルの温室効果ガス排出量から6%削減するというもの。検討の結果、いくつかのケースで見た場合に、削減技術の組み合わせによって基準量に比べ2%から7%の幅で削減可能性が見込まれるとした。主に原子力発電の設備量の見通しを旧電源開発調整審議会の答申に基づき2010年度までに運転を開始する予定の7基とした場合でも環境目標のクリアは可能との検討結果が示された。今年度の電力供給計画に示された約13基という増設分をあてはめた場合、削減すべき総量の3%分を稼ぐことができるともしており、原子力発電の有する環境対策への潜在的な可能性が浮き彫りとなっている。

今回の検討では温室効果ガス削減のための対策に要する費用評価も初めて行い、民生や産業都門で設備投資費用を考慮してもなお利益の得られる対策が数多くあると指摘した。高性能工業炉の導入や、待機電力の節電、副生物質である HFC の回収処理など効果的な対策をあげている。原子力発電の利用率向上も検討され、継続運転期間の長期化や定検の短縮によって90%の利用率を見込めれば、削減の対策費用を約1870億円減らすことができるため、高額な対策追加の必要がなくなるとしている一方、安全性等の点から85%程度の利用率にとどめるべきとの意見があった点を併記している。


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