[原子力産業新聞] 2001年7月19日 第2096号 <1面>

[日本原燃] コジェマから技術支援で合意

再処理施設の試運転、現場の技術を修得

日本原燃は13日、仏核燃料公社 (COGEMA) との間で、六ヶ所再処理施設の試運転を順調に行うために技術支援を受けることで基本合意に達したことを明らかにした。六ヶ所施設とラ・アーグ再処理施設に互いに技術者を派遣。現場での研修や実地訓練をとおして COGEMA 社が長年培ってきた再処理施設の運転技術などを原燃側に供与する。2005年7月の再処理事業開始に向けて施設の建設が進む中、運転技術者の養成面でも本格的な段階を迎えようとしている。

日本原燃では、目標の2005年7月に合わせ確実に六ヶ所再処理施設の操業をスタートできるよう、COGEMA 社が持つ豊富な運転経験や技術情報を取入れることが不可欠と判断。約1年前から協議を行ってきた。

今回の基本合意書には佐々木正日本原燃社長とA.ローヴェルジョン COGEMA 社社長が11日、パリの COGEMA 社で署名した。六ヶ所再処理施設に COGEMA 社から技術者を受け入れるとともに、COGEMA 社のラ・アーグ再処理工場 (UP3) に原燃の技術員を派遣し、COGEMA 社が蓄積してきた運転経験や技術情報の提供を受けるというのが合意された2つの柱だ。

時期は未定とされているが、六ヶ所施設では COGEMA 社の技術者が数十人規模で常駐し、原燃の技術陣に対し試運転の計画作成や運転技術に関するアドバイスを与える。一方、 COGEMA 社側への人員派遣では、六ヶ所での運転スタッフとなる70名が今年9月から UP3 施設で運転技術等を修得する計画だ。当直長クラスが6か月、運転員クラスは3か月程度、現場で研修を積むという。UP3 は、年間再処理規模800トンで、六ヶ所再処理工場のモデルとなったプラント。再処理の主要工程の技術は同施設で修得することが可能だ。

合意を踏まえ、両社は今後、技術支援の具体的内容について個別の契約を結んでいくこととしている。技術支援期間中、UP3 での再処理に用いられる使用済み燃料600トンの調達方法なども含め今後詰めていく。

4年後に操業開始を迎える六ヶ所再処理施設は、今年4月より前処理施設の通水試験を実施中。現在、COGEMA 社から15名と関連会社の SGN 社から9名が現地で技術指導にあたっている。

分離・精製などの施設でも2003年2月の化学試験から本格的な試運転が予定されていて、原燃では、六ヶ所施設で使用済み燃料を用いた試運転を開始する2004年7月までには、一連の技術修得を完了させたい考えだ。

今回両社の間での技術支援協力によって、原燃は再処理施設の運転技術の確立に向け、その第一歩となる試運転へと、明確な軌道を歩み始めた。


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