[原子力産業新聞] 2001年7月19日 第2096号 <3面>

[米-仏] 次世代原子炉開発で協定

包括的研究に共同出資

米国エネルギー省 (DOE) は10日、同省のS.エイブラハム長官とフランス原子力庁 (CEA) のP.コロンバニ長官が9日にワシントン・DCで第4世代の原子炉と燃料サイクルに関する革新的な研究に両者が共同出資していくための2国間協定に署名したと発表した。

この共同研究プロジェクトはブッシュ政権が先頃発表した「国家エネルギー政策」における、次世代原子炉技術の研究推進勧告を支援するものと位置付けられている。DOE の原子力科学技術局は今年から原子力技術の国際共同研究開発を目的とする「国際原子力研究イニシアチブ (I-NERI)」に着手しているが、今回のプロジェクトはその一部になるとともに、昨年9月に DOE が CEA との間で締結した「新型原子炉の科学技術に関する協力協定」を実行に移すことになる。

米仏両国は今後、将来期待されるような原子炉・燃料サイクルの設計分野で最先端の包括的な研究を進めていくが、来年の完成を目処に作成中の第4世代の原子炉技術の「ロードマップ」は新型原子炉と燃料サイクル・システムの研究開発計画として役立てていく考えだ。ロードマップの策定には米仏両国のほか、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、日本、南アフリカ、韓国、英国も参加している。

エイブラハム長官は声明の中で、「最先端の原子力技術は世界の将来のエネルギー供給においてクリーンな大気を約束する選択肢の一つだ」と指摘し、地球の温暖化を防止する上での原子力の効果を強調。「今回の協定は、安全かつ経済的で核不拡散性もある原子力システムの共同開発に米仏両国が双方の専門知識と資源を傾注していくと言う強い意志を示している」と説明した。また、今回の共同プロジェクトによって第四世代の原子力発電システムが2030年までに開発されるよう研究を加速していきたいとの抱負を明らかにした。


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