[原子力産業新聞] 2001年7月19日 第2096号 <4面>

[原研] 公募型研究で成果−完全自動運転の高速炉

超安全・超小型化

日本原子力研究所は4日、電力中央研究所への委託研究の結果、完全な自動運転が可能で超安全・超小型のリチウム冷却高速炉 (RAPID-L) を開発できる見通しが得られたことを明らかにした。この研究は原研の提案公募型の原子力基礎研究推進制度に基づく1999年度の研究課題として実施されたもの。電中研の神戸満上席研究員を責任者とし、三菱総合研究所、東北大学、京都大学から研究者が参加した。RAPID-L は「一体型炉心による燃料交換方式を採用した原子炉」の英語名称からつけられた名前。この設計研究では、人的要因を排除して高度な安全性を確保するねらいから、世界で初めて原子炉の起動から停止に至るまで、従来の高速炉概念になかった完全自動運転を実現した。そのほか、コンパクト化やメンテナンスフリーも可能になった。制御棒は使用せず、中性子吸収材である液体リチウム6の熱膨張を利用した原子炉制御装置のほか、原子炉停止装置、原子炉起動装置を考案した。炉内に設置した密閉管の内部に封入された液体のリチウム6が温度変化に応じて膨張・収縮することで原子炉の無人運転ができるというもの。

原研では、これら装置の設計の妥当性を確認するため、高速臨界実験装置を用いて核的特性を実証するとともに、研究炉 JRR-3 の中性子ラジオグラフィー装置を用いて一作動特性を調べるなどした。また、発電装置として採用が予定されている従来の2倍以上の性能を有する高性能熱電変換システムについても、温度一千度C の条件下で作動試験を実施した。

今回設計が行われた高速炉は燃料として窒化ウラン燃料が用いられ、熱出力5000kW、電気出力は200kW。現在主流の大型発電用原子炉と比べると出力がはるかに小さい。総重量も7.6トンと超小型、超軽量である上、10年間燃料を交換せずに連続運転が可能であることなどが特長。この研究で得られた革新的な技術開発の成果は、遠隔地での使用を想定した超小型原子炉に適用可能。例えば、空気や水がなく原子力技術者の支援も受けにくい極限環境である月面基地用の動力源として利用も可能なため、将来の月面有人基地計画にも採用される可能性もありそうだ。


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