[原子力産業新聞] 2001年7月26日 第2097号 <1面>

[新潟県] 知事、柏崎刈羽MOX利用で国と事業者に取組み要請

地域住民と国民へ細心の理解活動を

新潟県の平山征夫知事は25日、経済産業省資源エネルギー庁の河野博文長官と東京電力の南直哉社長を訪ね、柏崎刈羽原子力発電所でのプルサーマル計画に関して、県知事、柏崎市長ならびに刈羽村長による三者会談での合意内容を正式に伝えた。あらためて地域住民や国民に対して計画の必要性を明確に示して理解を求めるよう真剣な取組みを強く要請した。一方、政府のプルサーマル連絡協議会は23日に幹事会を開き、柏崎・刈羽両地域の議員から意見を聞き、協議会の中間とりまとめに反映することとした。

平山知事は両者との会談後、1999年に新潟県などが東京電力との間で交わした MOX 燃料装荷の事前了解そのものは有効だとしながらも、刈羽村での住民投票結果を踏まえ、国や事業者に対してプルサーマル計画実施見送りへの協力要請という形になったと説明。先に三首長での合意に基づく要求の中に示したように、国や東電に対して、電力の消費地と生産地の間の意識差を解消するための方策や、原子力関係者や事業者の信頼回復に向け行うべきことで意見を交わしたことを明らかにした。

国策としてプルサーマルを推進するならば、立地地域に国の職員が常駐し日常的に地域住民とのコンタクトを図る中で理解増進に取り組むことの必要性など、従来とは違う細心の施策に取り組むことが重要だと指摘するとともに、新潟県としても今後、プルサーマルの理解活動を改善することや、産消対話のための努力を惜しまないとの姿勢を示した。

そのうえで知事は、核燃料サイクル確立の必要性は十分認めていると述べ、新潟県がその1つの役割を果たす意義は大きいとして、条件が整えば我が国として最初にプルサーマル実施県になることに問題はないとの認識を示した。

一方、知事の意向を受けた東京電力も刈羽村の状況が好転するまでは装荷延期は止むを得ないとの考えを伝え、地域住民の不安や疑問にひとつひとつ答えていく努力が不足していた点を認め、今後の理解活動に努めるとした。

地元議員から意見を聴取−プルサーマル連絡協幹事会

政府の第4回プルサーマル連絡協議会幹事会は23日、柏崎・刈羽地域の代表として柏崎市議会から桜井雅浩議員、北岡逸人議員、刈羽村議会から桑原正利議員、長世憲知議員を招いて、プルサーマルの実施、国や事業者による地元理解促進方策、国民理解促進方策等について意見を聞いた。

この中で、柏崎市の桜井議員からは「プルサーマル推進のためには国が前面に出てくるべきで、責任ある人が現地で説明を行うとともに、駐在する広報のプロフェッショナルが日常的にコンタクトすべき。国民的な理解のためにエネルギー教育の重要性や、住民投票を明確に位置づけるべき」等の意見が出された。また北岡議員から、住民に一方的に理解を押しつけるのでは住民の理解は得られないこと、政策作成過程から広く多くの人の意見を聴いていくべきこと、MOX 燃料の情報非公開等をみると国や事業者を信用することはできない等の意見が出された。

一方、桑原刈羽村議会議員は、事前了解後に MOX 燃料不正データ事件や JCO 事故等が起こり状況は変化しており、これらによる住民の不安を払拭するのは難しいこと、国は地元へ足を運んで広く意見を聴くべきこと、使用済み燃料の管理計画が不明確であることなどを指摘した。


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