[原子力産業新聞] 2001年7月26日 第2097号 <1面>

[COP6再開会合] 京都議定書で合意

原子力技術の認知へ努力継続

オランダ・ハーグでの国連気候変動枠組み条約第6回締約国会議 (COP6) 再開会合で、23日の閣僚級全体会合において、プロンク議長が提案した「ブエノスアイレス行動計画実施の中核要素」が一部修正の上、合意された。

そのなかで、日本が主張していた原子力発電の位置づけについては、CO2 削減対策に柔軟性を与える京都メカニズムの枠組みにおけるクリーン開発メカニズム (CDM) や共同実施の対象から外す形で合意に至った。我が国はカナダやロシアなどとともに、先進国が途上国に建設する原子力発電所を温暖化ガスの削減対象事業として認めるよう主張していたが、結局盛り込まれるまでに至らなかった。

また、環境目標を達成できなかった場合の罰則規定については最後まで欧州と日本の対立が解けず、具体的なルール作りは今後の協議に委ねられることになった。一方、CO2 を森林が吸収する分を温暖化ガス削減実績として各国の事情に応じて認める点については、日本の主張が大幅に採り入れられることとなった。

日本は2008から2012年に1990年比で平均6%の温暖化ガスを削減する義務が京都議定書に盛り込まれていたが、このうち3.7%分を森林吸収で確保することを想定。一方で欧州や途上国側はこの数値が大きすぎるとし、制限を加える姿勢をみせ、厳しく対立していた。これが今回の閣僚級会合で最終的に3.8%まで認められることになった。

今回の合意により、形としては議定書からの離脱を表明している米国を除く各国が議定書の2002年の発効を目指し批准作業を進める条件が整ったことになるが、わが国は引き続き米国の責任ある参加を求めていく方針だ。

今回の会合会場でも、日本原子力産業会議や欧米の原子力産業界団体で構成する国際原子力フォーラムが各国政府代表団に対するロビー活動を強力に展開。各国原子力界の支援を得た声明書を出すなど、CDM 技術として原子力発電の環境優位性を最後まで訴えた。

控えめながら原子力を CDM や共同実施などから除外するという合意に至ったことを受け、同フォーラムは声明を発表。技術的文書において、原子力に対する扱いを法的な拘束力のない形にもっていくことに最大限の働きかけを払う考えをあらためて明らかにした。


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