[原子力産業新聞] 2001年7月26日 第2097号 <2面>

[医用原子力技術財団] 研究振興を助成支援

放射線治療効果の研究など

医用原子力技術研究振興財団 (森亘理事長) は19日、2001年度 (第6回) 「医用原子力技術に関する研究助成」対象者を決定し、東京都内で贈呈式を行った。

同制度は、医用原子力技術に関する基礎研究および診断・治療技術ならびに薬剤の研究開発等について、研究に携わる若手研究者を助成・支援するもの。本年度は、(1) 放射線治療の効果予知に関する基礎的・臨床的研究 (2) 画像診断による被曝線量低減に関する研究 (3) 中性子捕捉化合物の腫瘍集積性の向上に関する研究 -- の分野について高い研究成果や将来性を期待できる若手研究者の推薦を関係機関に依頼。応募総数31件の中から、同財団の選考委員会により研究の目的・方法や独創性、将来性・実用化、実績等などが審査され、以下の5名が決定した。

東北大加齢医学研究所助手・竹林勇二氏「放射線感受性・耐性因子の同定および臨床応用」▽福井医科大高エネルギー医学研究センター助手・脇厚生氏「In vivo 腫瘍増殖能診断法による放射線治療効果予知の検討」▽神戸大医学部付属病院放射線医学教室医員・佐々木良平氏「DNA 修復機構を用いた放射線治療の効果予知に関する基礎研究」▽岡山大自然科学研究科助手・秋澤宏行氏「非特異的な腎臓への放射能集積の低減により被曝線量を低減した腫瘍画像診断薬剤 In-111-DTPA 結合 octreotide 誘導体の開発」▽近畿大医学部放射線医学教室病院講師・鈴木実氏「肝腫瘍に対する硼素化合物の径動脈投与の有用性の検討」。

また贈呈式に引き続き、2000年度同助成総合報告会が行われ、前年度の重点テーマであった放射線治療精度の高度化や画像融合技術の高精度化、標識薬剤の開発と応用について研究報告がなされたほか、新潟大学脳研究所付属脳疫患解析センターの中田力教授が「高磁場 MRI の現状と将来展望」と題して特別講演を行った。


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