[原子力産業新聞] 2001年7月26日 第2097号 <3面>

[米国] 輸入濃縮ウランに関税を

ダンピング調査で予備裁定

「米国商務省 (DOC) は6日、「フランス政府が管理しているユーロディフ社と英国のウレンコ社は米国で不当に安い価格で濃縮ウランを販売している」との予備裁定を下し、今後輸入される濃縮ウランには関税を掛けるべきだとの見解を明らかにした。

DOC と国際貿易委員会 (ITC) は昨年12月、米国濃縮会社 (USEC) からの請願を受けてこれら欧州2社のダンピング疑惑について調査を開始。ITC は今年1月に「輸入濃縮ウランにより米国の市場は実質的な被害を被っていると考えられる」との予備的判断を下していた。

今回 DOC は、ユーロディフ社が仏国から持ち込む低濃縮ウラン (LEU) には17.52%、ウレンコ社が英国から持ち込むウランには3.35%の関税をダンピング防止のために掛けるべきだとする一方、ドイツからの濃縮ウランには0.46%、オランダからのウランには0.55%という関税率を試算している。DOC はこのほか、今年5月の時点で、欧州2社の助成問題と相殺関税に関する調査の結果、「両社はそれぞれの本国政府から不公平な助成措置を受けて利益を得ている」との予備的判断を下しており、ユーロディフには13.94%、ウレンコには3.72%の相殺関税を課すべきだとの考えを示していた。

現在の米国の商法では、ダンピング防止関税が2%以下と計算された場合は、「ダンピングはなかった」として債務証書の提出や補償金の支払いを義務づけられないことになっている。しかし、ドイツやオランダからの LEU 輸入については相殺関税が2%以上であるため、債務証書や補償金の支払いが必要だ。

これら2種類の関税が実際に2社に課されるかどうかは DOC のさらなる調査の結果にかかっている。もし DOC が、今回のダンピング防止関税と5月の相殺関税に関する裁定は正当との最終判断を下せば、ITC も国内市場の損害について年末までに最終決定を示すと見られている。


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