[原子力産業新聞] 2001年7月26日 第2097号 <4面>

[特集] 東北・下北地域特集(1) 東通原子力発電所

女川に続く東北電力2番目の原子力発電所立地点となる東通地点は現在、建設工事が最盛期を迎えつつある。6月末現在の工事進捗率は31%で、取材に訪れた18日には各種建屋などの鉄骨の骨組みが相当に立ち上がっており、発電所のおおまかな形がつかめるまでに工事は進んでいた。東北電力・東通原子力発電所建設現場の最新の姿を、写真を中心に紹介する。

次なる節目は格納容器の組み立て

東北電力4番目の原子力発電ユニットとなる東通1号機は、沸騰水型軽水炉 (BWR) で、出力は110万kW となる計画。1965年の東通村議会の誘致決議以降、96年には第一次公開ヒアリングを開催、同年の電源開発基本計画に上程され、97年に第二次公開ヒアリングを開催するなど計画は順調に進展し、98年12月に着工された。

378万平方メートルにおよぶ広大な敷地の中にある1号機建設現場では現在、工事関係者約1200名と東北電力関係者約120名が、2005年7月の営業運転開始に向けて順調なペースで建設を進めている。

今後は今年9月に原子炉格納容器の組み立てを開始し、03年には原子炉圧力容器の据え付けが行われる予定。燃料装荷および初臨界は、04年9月が計画されている。

越善東通村長に聞く

今まさに建設がピークを迎えようとしている東北電力・東通原子力発電所1号機。受け入れる自治体側の首長として長年村政にあたってきた越善靖夫東通村長に、発電所が村にもたらしている変化および、これからの展望などについて聞いてみた。

原子力発電所については、「誘致企業」としてとらえている。

現在東通では、発電所建設にともない支払われる交付金を活用して地域振興を進めているところだが、振興策が進むにつて、村や村民が元気になってきていることを感じる。具体的な振興策としては、東通村は高齢化率が高く、人口約8500人のうちおよそ2割が65歳以上のお年寄りであることから、高齢化対策の充実を図るべく、デイサービスほか核種機能を備えるとともに診療所を併設した東海村保健福祉センター「野花菖蒲の里」を村役場近隣に建設した。またそれに加えて、来年の共用開始を目指して、老人保健施設の建設工事も隣接地で進めており、この3施設を集中立地することにより、村民に対してより質の高い保健・医療・福祉サービスを提供していくことが出来るようになる。

発電所については、村民の生活の向上のために誘致しているのだから、ぜひとも一時的でない、村の子供たちにとって「将来的には発電所で働くんだ」というような意欲をかき立てる施設であってほしい。村ではこれまで、原子力発電との共生を基本理念に、計画的な村作りに取り組んできたところ。村民の所得増加などといった観点からは、将来に期待が持てると思っている。国や電力会社には、これからも地元との信頼関係を大切にしながら計画を進めてほしい。


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