[原子力産業新聞] 2001年8月2日 第2098号 <2面>

[経済産業省] 高レベル廃棄物テーマにシンポジウムを開催

処分事業の進展踏まえ

「高レベル放射性廃棄物シンポジウム 2001」が1日、東京都内で開催された。

経済産業省資源エネルギー庁が主催して、高レベル放射性廃棄物の処分方策について国などの取り組みを紹介するとともに、パネル討論を通じて今後の進め方についての国民理解を深めるねらいから全国9か所でリレー開催するもので、今回の東京開催がその第1回目。

社会評論家の小沢遼子氏がコーディネーターとして進行役をつとめ、まず、資源エネルギー庁の山形浩史放射性廃棄物対策調整室長が、国の取り組みや、昨年成立した処分の枠組みを定めた法律等の概要説明を行ったのに続いて、原子力発電環境整備機構の鈴木康夫専務理事が地層処分の考え方など技術的な説明を行った。

そのあと、パネリストとして参加した東京電力の尾本彰原子力技術部長は、発電源の多様化や資源の長期的なセキュリティー、環境調和の3つの観点から原子力の貢献等を説明し、放射性廃棄物を含めた資源リサイクル等の重要性を述べた。また東京大学大学院でシステム量子工学を専攻する木村浩氏は、原子力に関するリスクとベネフィットについての一般国民の意識調査の結果を紹介しながら、放射性廃棄物問題が原子力に対する国民の態度を決める重要な因子となっており、適正な情報公開などを進めて議論を深めることが重要と強調した。一方、学習院大学の田中靖政教授は、廃棄物問題の解決には社会全体が連帯して責任を自覚することと、科学的・客観的にどれだけ安全に始末できるのか専門家の実証研究で検証する必要があると指摘した。また情報の透明性や民主的な手続きの議論を深めていくことが重要などと述べた。


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