[原子力産業新聞] 2001年8月2日 第2098号 <2面>

[原発トラブル] 4月から7月のトラブルを評価

事象5件すべて軽微

総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会 INES 評価小委員会 (委員長・近藤駿介東大院教授) が7月25日に開催され、前回開催日 (4月24日) 以降〜7月25日までの間に原因、対策についてプレス発表を行った原子力施設のトラブルについての評価を実施し、26日発表した。

今回対象となったトラブルは (1) 4月19日に発生した関西電力・高浜発電所1号機における、高圧給水加熱器伝熱管からの漏洩 (2) 5月7日に発生した東京電力・福島第二原子力発電所2号機における、原子炉残留熱除去系逆止弁の動作不良 (3) 5月24日に発生した同・福島第一原子力発電所6号機における、燃料集合体の漏洩検査による漏洩の発見 (4) 6月18日に発生した同・柏崎刈羽原子力発電所6号機における、原子炉格納容器内の原子炉補機冷却水の漏洩 (5) 7月6日に発生した、関西電力・高浜発電所3号機における、蒸気発生器伝熱管の過流探傷検査における有意な指示 -- の合計5件。

INES 評価小委では、それぞれの事象について評価を実施。その結果、 (1)、(3)、(4)、(5) については全て「レベル0マイナス」。(2) についても「レベル0プラス」と決定し、全事象が非常に軽微なものであったと結論付けた。

INES (国際原子力事象評価尺度) は、国際原子力機関 (IAEA) および経済協力開発機構の原子力機関 (OECD/NEA) が、原子力発電所等の個々のトラブルについて、それが安全上どのような意味を持つものかを簡明に表現できるような指標として策定。わが国においては92年8月から運用を開始しており、その際にはトラブル発生後に原子力安全・保安院が暫定評価を行い、原因究明が成されて再発防止策が確定した後、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会に設置された INES 評価小委員会において専門的かつ技術的な立場から検討を行い、正式評価を実施している。なお同小委は現在、4半期に1回の割合で開催されている。


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