[原子力産業新聞] 2001年8月23日 第2100号 <4面>

[原研] 耐放射線作業ロボットを開発

事故時対応に威力発揮

日本原子力研究所はこのほど、原子力施設で事故が発生した場合の高い放射線環境下でも十分な耐性をもって情報収集を行える「放射線耐性型ロボット」 (RaBOT・Radiation-proof Robot) を開発した。

RaBOT の特徴は、(1) ロボットアーム、走行機構、バッテリー等の本体機器には放射線に強い部品を使用している (2) 放射線に弱いカメラ等の電子部品についてはユニット化し、簡易着脱コネクターを用いて現場で容易に交換できる構造としたこと--など。

極めて高い放射線レベルの環境条件下で情報の収集を行う事故時対応ロボットの開発を進めてきた原研は、今年3月、「RESQ」と呼ばれる情報遠隔収集ロボットを開発していた。RESQ ロボットには、役割に応じて、小型軽量で現場の状況を迅速に把握する RESQ-A、事故発生現場での詳細な情報を収集する RESQ-B、汚染情報の収集や試料採取を行う RESQ-C の3種類がある。これら RESQ は、JCO 事故程度の放射線環境下での作業を想定していたが、今回原研では、さらに放射線レベルが高い原子力施設の事故現場でも情報収集や試料採取を行うことができる RaBOT を開発したもの。これにより、放射線に対する寿命が10万グレイ程度と RESQ の1000倍となり、高放射線環境下の事故現場で継続的に情報収集や試料採取を行うことができるようになったという。

ロボットは、操作盤を備えた専用のコンテナ内から、有線または無線により操作され、ロボットが収集した情報はコンテナ内のコンピュータで集中管理される。


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