[原子力産業新聞] 2001年8月30日 第2101号 <1面>

[日本原燃] 青森県と六ヶ所村に対し、MOX 加工工場立地を申入れ

3年後の着工めざす

日本原燃は24日、青森県六ヶ所村でのウラン・プルトニウム混合酸化物 (MOX) 燃料加工工場の建設に向けて、県と村に対して正式に立地協力要請を行った。同日、日本原燃の佐々木正社長が県庁に木村守男知事を訪ね、協力の申し入れ書を手渡した。今後、県など地元自治体の判断を待つことになるが、計画が順調に進めば、3年後の2004年には建設が開始される見通しだ。

日本原燃が計画する国内軽水炉用 MOX 燃料加工施設は年間の最大加工能力130トン規模。六ヶ所再処理工場に隣接するかたちで建てられる予定だ。着工は2004年4月、2009年4月頃の操業開始を見込んでいる。建設費用は約1200億円で、うち直接工事費は1000億円と見積もられている。

協力の申し入れを受けた木村知事は、周辺地域だけでなく青森県全市町村の意見を聞いたうえで総合的に判断を下す可能性も示唆している。

一方、橋本寿六ヶ所村長には、日本原燃の猪股俊雄副社長が出向き協力を要請した。

今回、同加工施設の立地が申し入れられたことに対して原子力委員会も28日、「MOX 国内加工事業の整備は新長期計画の趣旨に沿ったものだ」として、評価・歓迎する見解を発表した。また、平沼経済産業相や南直哉電事連会長もあらためて MOX 利用の必要性を強調している。

我が国での商業用 MOX 加工事業体制の確立は燃料サイクルに必要な柱のひとつであり、再処理事業の進捗に伴い重要課題となっていた。昨年11月に電気事業連合会が日本原燃に対して MOX 加工事業主体になるよう要請。原燃は検討を加えた後、受諾の回答を示していた。

電気事業者が六ヶ所村に燃料サイクル施設立地を申し入れた当時から、MOX 加工施設も含めての立地が議論されていて、今回の申し入れで関連施設すべてが出揃ったかたちだ。サイクル政策上、大きな前進を見せたが、現在国内では MOX 利用計画実現の糸口をつかむのに精一杯な状況であることも事実で、国や電気事業者の掲げるプルサーマル実施目標の達成には、なお多くの努力が必要となる。


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