[原子力産業新聞] 2001年8月30日 第2101号 <4面>

[東京電力] 福島第二3号機でのシュラウド部のひび原因を特定

定期検査中の東京電力・福島第二原子力発電所3号機 (BWR、100万kW) のシュラウド下部リングの溶接部近傍の表面に発見された「ひび」について、東京電力は24日、詳細検査の結果および対策を発表した。

ひびについて、東電では溶接部近傍の目視検査を詳細に行ったところ、当該箇所以外にはひびは、発見されず、また、ひびが確認された部分の金属調査を実施した結果、応力腐食割れ (SCC) の特徴的な破面が確認されたという。

ひびが発生した原因として「製作時における機械加工 (切削) により、下部リングの外表面が硬化したため、溶接による引っ張り方向の残留応力と運転中の溶存酸素を含んだ環境のもとで、表面から約0.3ミリメートルの深さの粒内型応力腐食割れが発生し、これが初期の亀裂となり、その後は粒界型応力腐食割れが進展した」と推定。

また残留応力は、リング表面では引っ張り方向だが、内部では圧縮方向へ働くために、ひびの進展は自然に止まるものであり、また当該リングのひびを除いた残存部分の強度は十分確保されていることから、運転上支障はないものとしながらも、今後の運転に万全を期するものとの観点から、タイロッド工法による補修を行うとしている。


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