[原子力産業新聞] 2001年9月6日 第2102号 <1面>

[行政改革] 特殊法人民営化は困難

長期的政策遂行に不可欠

政府が進めている特殊法人改革に伴い、3日までに各省庁が所管法人の民営化・廃止についての回答を行政改革推進事務局に提出した。文部科学省はその中で、日本原子力研究所や核燃料サイクル開発機構などの原子力関係の特殊法人民営化は困難などとする考え方を示した。

まず原研に関しては、多目的研究炉 JRR-2 や公募型原子力基礎研究は段階的に廃止中であると回答したうえで、安全研究や原子力エネルギー研究、放射線利用研究などの事業は純粋に廃止できないとしている。

原研は電気事業者とは異なる中立的な立場で安全研究を実施しているため、事業が廃止された場合は国の安全基準制定の基盤となる中立的な知見の提供ができなくなる点を問題視するとともに、原研は原子力エネルギー研究での高度化された施設・設備をもち総合的な研究を進めている実績があるとして、「他の機関が原研と同水準の知見やノウハウを獲得するためには長い期間と莫大なコストが必要となり、中長期的観点からの研究開発や核融合の工学実証炉などの実験的段階の役割は民間には期待できない」と主張している。

また、事業を国や地方公共団体に移管することは組織・人事、予算管理など諸制度の制約により機動的・弾力的な業務の運営が不可能である点を挙げた。

民営化に対しても実現の難しさを示した。原研の事業自体収益が生まれるものではなく採算性は期待できない点や、国の原子力長計や安全研究年次計画に基づいた研究開発推進の必要性を挙げ、政策との整合性の確保が不可欠だとした。そのほか、廃炉や廃棄物管理、立地地域との関係、国際的な約束との関係等を考慮すると、特殊会社や民間法人では必要な条件を満たすことが不可能だと答え、特殊法人格の継続を求めている。

一方、サイクル機構については、民間で商業化段階にある事業は移転を進めていることに加え、軽水炉の再処理でも現行の役務契約終了後は新たな契約を結ばないことを示したうえで、高速増殖炉、再処理、高レベル廃棄物処分の3事業は廃止が困難だと主張。

「もんじゅ」を中心とする FBR サイクル技術は、長期計画に示された「我が国のエネルギーの長期的安定供給に向けて、資源節約型のエネルギー技術の開発の中でも有望な技術的選択肢である」ことを強調しているほか、方法や安全評価方法の確立が実現できなければ、処分そのものが実施できないとして高レベル廃棄物処分の研究開発は必要と回答。民間再処理工場への技術支援や MOX 燃料等の再処理技術開発も重要事業として欠かせない点を強調している。

民間企業への移管については、新型転換炉や再処理施設等、サイクル機構の施設は安全確保の観点から適切な維持・管理の必要性を訴え、「将来の廃止・解体に伴う廃棄物の処分には、長期の期間と多額の資金が必要であって国が責任をもって対応する必要がある」などとして、特殊会社化や民間法人化なども困難だとの回答を提出した。


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