[原子力産業新聞] 2001年9月6日 第2102号 <2面>

[原子動力研究会] 年会で若手への技術継承を期待

大山会長あいさつ

日本原子力産業会議の原子動力研究会 (会長・大山彰東京大学名誉教授) は30日、港区新橋の原産会議室で第38回の「年会」を開催した。

大山会長は冒頭あいさつの中で、最近の世界での原子力をめぐる動きや、我が国ではプルサーマル計画の延期などに見られるように推進がままならない状況にある点に触れたうえで、「多くの課題が予見できる今世紀に原子力が十分な役割を果たすためには安全確保などとともに若手技術者の技術の継承が重要だ」として、同研究会の今後の活動に期待を表した。

この後、9つの研究グループが日頃の研究成果を発表したのに続いて、近藤駿介・東大大学院教授が「原子力の技術基盤の確保のあり方」を特別講演。6月に総合資源エネルギー調査会原子力部会がとりまとめた報告書の内容のポイントを紹介した。

その中で、今後原子力の基盤技術確保のために国と民間が取るべき対策について述べ、「国は原子力開発に対する基本的方針の明確化と実施が必要だとして、原子力委員会の積極的な役割が重要だとの考えを示したほか、関係省庁には十分な研究開発投資などの環境整備や民間支援が考えられると指摘。安全確保のための研究開発や将来の技術的不確実性を最小にする目的の研究開発を着実に進めることが必要だとしたほか、革新的な実用関連技術の開発にも力を入れるべきだとした。

一方、民間が進めている事業のうち実施途上の分野であるウラン濃縮や再処理、MOX 燃料加工では、事業者が引き続き国の研究開発機関と十分な連携をとって事業の確立を図っていくことが極めて重要と強調した。

さらに、原子力技術の基盤確保のために今後は、本格的な電力自由化の中での原子力発電や使用済み燃料中間貯蔵の問題、京都議定書と原子力発電の扱いといった課題について、関係者の間で十分な議論が尽くされる必要があると締めくくった。


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