[原子力産業新聞] 2001年9月20日 第2104号 <3面>

[英国] BNFL、原子力オプション堅持を要請

ベースロード電源としての役割強調

英原子燃料会社 (BNFL) のN.アスキュー最高経営責任者 (CEO) は6日、英国政府に対して原子力発電オプションの維持を要請するとともに、原子力の復活に向けて競合していくうえで同社では完璧な準備ができていると訴えた。

この見解はロンドンで開催された世界原子力協会 (WNA) の年次シンポジウムで明らかにされたもの。世界各国から集まったエネルギー産業界のリーダーや政策立案に影響力を持つ参加者達を前に、同氏は「原子力発電は英国のべース・ロード電源として重要な役割を担い続ける必要があり、原子力の貢献なしでは英国は多様で安定した、環境にも優しいエネルギー供給を得つづけることはできない」と主張した。

同氏はまた同じ日、大がかりなエネルギー政策見直しを6月から実施している内閣府の実績・技術革新局 (PIU) にも同様の内容の要請文書を提出したと表明。市場によって原子力の新規建設が可能になるような適切なメカニズムを盛り込むよう政府閣僚達に呼びかけたと説明した。アスキュー氏が言及するメカニズムとは具体的に次のような機能を指すとしている。すなわち、(1) 原子力には実質的に温室効果ガスを出さない利点かあると認められるよう気候変動防止対策の構造を変更する (2) 原子力設備が効果的、効率的に取り替えられるよう規制計画上の承認手続きを改善する (3) すべてのべース・ロード電源について長期的な電力供給契約がどのような要件で実施されているか審査する (4) 包括的な放射性廃棄物管理政策を策定する (5) 原子力の教育・訓練および研究開発を促進する − など。

BNFL の結論としては、英国原子力産業界による重要な貢献を維持することは、気候変動問題とは別に、将来のベース・ロード電力の供給を保証する唯一の方法だと強調。「再生可能エネは確かに温室効果ガスの排出抑制で重要な役割を果たすがベース・ロードの電力需要を賄うことはできない。原子力設備が新たに建設されないまでは設備容量は現在の23%から2020年には5%まで減少する」との見解を明らかにした。また、ガスの埋蔵量が枯渇しかかっていることを考えると、英国は今後、輸入ガスに過度に依存するようになり、供給が確保できないばかりか電力価格の変動を引き起こし、温室効果ガス削減目標の達成も難しくなると警告している。

このほか BNFL は、同社の従業員が世界で2万3000名にも及び、そのユニークな能力で数々の国際市場において最先端に位置していると強調。同社が吸収したウエスチングハウス社による AP600 や AP1000 などの新しい原子炉設計は建設期間の短縮化や建設コストの節約を可能にするほか、AP600 についてはすでに米国で認証を得ており、その他のすべてのベース・ロード電源とも遜色無く市場で渡り合っていけるとの自信を表明している。


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