[原子力産業新聞] 2001年9月27日 第2105号 <4面>

[NEI-insight] 大気清浄化へのカギ

エネ供給の多様化とバランス

清浄な空気と低コストで信頼性の高い電源は、相反するものではない。「環境にとってクリーンで、経済成長を続けることができる経済性・信頼性が高いエネルギー源が必要だ」とオハイオ州選出のジョージ・ボイノビッチ上院議員は3月21日の連邦議会の聴聞会で述べた。「最近のエネルギー不足の原因の1つは、不必要に原子力発電を悪者扱いしたことである」、「米国の原子力産業界は安全に利用を続けてきたし、他の国でも同様だ」と彼は付け加えた。

ポイノビッチ議員は、「議員は、クリーン・コール・テクノロジーや原子力発電の利用拡大を含めたエネルギー・オプションに注目しなくてはならない。これらを無視する姿勢は政治的に正しいといえない」と強調。「原子力発電はクリーンであり、他の代替エネルギーよりも低コストである」と彼は述べた。

「私は、環境規制はエネルギー政策と調和のとれたものであるべきだと確信する」とオクラホマ州選出のジェームス・インフホーフ上院議員は述べている。「米国の現状は、それを必要としている」インフホーフ議員は、「原子力発電や石炭、石油、天然ガスおよび再生可能エネルギーなども含めた国産の多様なエネルギー供給を強化すべきだ」と他の議員に訴えた。

前米エネルギー省 (DOE) 次官であるリンダシュンツ氏は、「これまで米国が1つの燃料源に入れ込んだ場合、その結果は常に暗澹たるものだった」と述べた。彼女は「米国にとっては、多様なエネルギー供給構成がベストである」と指摘。「確固たるエネルギー政策は、大気浄化政策の敵ではなく同盟者なのだ」と述べている。「十分な発電所の立地、建設、維持を困難にさせ、単一の燃料に対する依存度を過度に高めれば、何年も何か月もかけて注意深く進めて来た過程をだいなしにする危険に、環境とわれわれ消費者自身をさらすことになる」

シュンツ氏はまた、もっとたくさんの原子力発電所が20年間の運転期間延長をすることを期待しており、これは小委員会で審議すべき重要な問題だと述べている。彼女は米国北東部とカリフォルニア州を含めた他の地域の大気は、1つには全米103基の原子力発電所が好調な運転を続けているため、そうでない場合よりもクリーンに保たれていると強調した。

電力会社首脳であるアンソニー・アレクサンダー氏 (ファーストエナジー社長) は、クリーンで多様な燃料源からの発電を促進するよう議会に訴えている。「石炭、原子力、天然ガス、太陽光、風力および水力を含めたバランスのとれた電源構成は、単一の電源に依存した際の電力料金の高騰のリスクを小さくすることができる。

ミネソタ州を基盤とするエクセル・エナジー社のオロン・プランク環境サービス担当副社長は、米国の大気浄化とエネルギー政策に関する議論は、原子力発電が果たす役割抜きには不完全であると強調。「あなた方も他の小委員会のメンバーのみなさんも良くご存知の通り、原子力発電は炭酸ガス排出を伴わない唯一の大規模ベースロード電源であったし、今後もあり続ける」と述べている。

もし、エクセル・エナジー社がプレーリーアイランド原子力発電所を最新型の石炭火力に取り替えた場合、推定1500トンの亜硫酸ガス、4000トンの窒素酸化物、50〜100ポンドの水銀、900万トンの炭酸ガスの排出クレジットを毎年調達しなくてはならなくなると予想されている。


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