[原子力産業新聞] 2001年9月27日 第2105号 <4面>

[NEI-insight] カルバートクリフス原発、牡蠣の繁殖に貢献

30年間の調査で判明

アース・デー (「地球の日」) がスタートしたのは1971年だったが、カルバートクリフス原子力発電所の周辺「住民」は、発電所が運開するずいぶん前から環境の友人だった。

カルバートクリフス発電所をとり囲むチェサピーク湾周辺の海生生物の中には無数の牡蠣があり、繁殖地を形成している。自生しているもの、コンステレーション・エナジー社の原子力発電所周辺の科学者の手による生育地のものも含め、牡蠣は繁殖地で育まれてきた。同発電所が運転開始する何年も前から、発電所とメリーランド州の環境当局の職員は、チェサピーク湾の水質、沈殿物、海生生物および周辺の陸地と大気に関する調査を始めた。

30年間に及ぶ調査の結果、同発電所がチェサピーク湾の牡蠣にとって守護天使であり、友人であることが明らかになっている。同発電所の機器、システムおよび包括的な環境保護プログラムによって、発電所の運転によるチェサピーク湾の海生生物に対する影響が防止されてきた。

1960年代後半から、牡蠣の個体群を単に維持するだけではなく、発電所周辺の繁殖地での繁殖を助けるため、運転会社は自然科学アカデミーの調査研究に資金を拠出してきている。80年から84年にかけて、州の天然資源局は、牡蠣の養殖のため、発電所周辺の稚貝用として36万9000ブシェル (1ブシェル=35.24リットル) の蠣殻を移植した。

メリーランド州セント・レナードにある自然科学アカデミー河口域研究センターのジョージ・アビ上級科学者は、発電所周辺の水質調査を30年あまり続けてきたが、同発電所が運転開始した時アビは、「我々の最終目的は、原子力発電所の運転に伴う温排水が、水質やプランクトン、貝類、魚類のエサとなる植物や微生物に影響がないかどうか特定することにある」と述べた。1968年から1981年にかけての調査研究期間中、アビは、「牡蠣の斃死率には影響なく、平均して運開前が6.9%、運開後は6.0%だった」と述べた。「発電所の温排水区域の牡蠣は、発電所から離れた場所の牡蠣よりも早く成長する」アビはその原因を放水孔近くの海水温度が高いためとしている。アビは、自分も発電所周辺の牡蠣をたくさん食べたと語っている。


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