[原子力産業新聞] 2001年9月27日 第2105号 <6面>

[提言] 廃炉に国家的戦略を

石川迪迫夫氏らが提言

原子力発電技術機構の石川迪夫特別顧問は21日、ソシオ・エナージー・システム (SES) が都内で開いたデコミッショニング・シンポジウムで、我が国も今後大型原子炉の廃止措置を円滑に進めていくためには国家的戦略の検討を実施すべきだとする提言を示した。

石川氏は今年5月、解体廃棄物処分・再利用の状況を調べる SES 調査団の団長として欧米を訪問。提言は、現地調査で得られた知見を基に、リサイクル産業の基盤整備の観点から我が国での廃止措置における課題をまとめたもの。

提言は、先行する欧米諸国においては、従来の我が国の発想からすると放射性廃棄物として処分の対象になるものでも、可能な限り有効な再利用に向けたリサイクルの発想とそのための産業創出の環境も生まれてきているとした上で、将来我が国で、海外に見られるような大型機器等の溶融処理事業が成立するためには、合理的な規制のもとで、多量の処理を可能にすることが課題だと指摘。

また、米仏では解体廃棄物等の再利用を集中的に扱う専門に企業が存在し総合的な事業を展開していることから、我が国でも将来多量に出る解体廃棄物の集中処理化が重要なオプションだとしている。

こうした点を踏まえ、軽水炉解体が本格化する2010年ごろまでに官民が連携して柔軟な規制のもとに現実的な市場の整備を図るため国家的な戦略を検討することを提言。 (1) 放射性廃棄物の減容技術の開発と費用効果の高い処分方法の確立 (2) 解体廃棄物の再利用・リサイクル技術の確立と産業基盤の整備 (3) クリアランスレベルとサイト解放基準の早期設定 − といった対応を求めている。


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