[原子力産業新聞] 2001年10月11日 第2107号 <3面>

[米国] 商業炉のトリチウム生産計画

ワッツバー原発で18か月間実施

米国原子力規制委員会 (NRC) は9月21日、テネシー州にあるワッツバー原子力発電所 (121万kW、PWR) で米国エネルギー省 (DOE) の軍事用トリチウムを生産するというテネシー峡谷開発公社 (TVA) の計画申請を受理した。

申請内容はワッツバー発電所にトリチウム生産用の可燃吸収棒を取り付けるというもの。ボロンの代わりにリチウムを使い商業用 PWR 内でトリチウムを生産するというこの技術は DOE が開発した。照射済みの吸収棒はサウスカロライナ州にある DOE のサバンナ・リバー・サイトに送られ、トリチウムが抽出されることになる。

軍事用トリチウムの在庫を確保するため、商業炉を使うという計画は米国にとって初めての試み。88年にサバンナ・リバーのトリチウム生産施設を閉鎖して以来、DOE では解体した核兵器のトリチウムをリサイクルして短期の所要量を賄ってきた。NRC はこの問題について97年の2月と8月に公聴会を開いており、同年9月には技術試験のためワッツバー発電所に32本の吸収棒設置を決定。DOE は99年の春にサバンナ・リバーでトリチウムの抽出に成功している。

NRC が今回の申請を認可した場合、TVA は同発電所に2304本の吸収棒を取り付け、約18か月間に渡ってワン・サイクルの照射を行うことになる。作業が完了した後、同発電所は通常の仕様に戻される予定だ。


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