[原子力産業新聞] 2001年10月11日 第2107号 <4面>

[核融合科学研] プラズマ電子温度1億度を実現

磁場閉じ込め研究に新展開

核融合科学研究所は2日、大型ヘリカル装置でマイクロ波加熱を利用して電子温度1億度のプラズマ生成に成功したことを公表した。

土岐市にある核融合科学研究所では、先月19日から今年度の実験を開始し、26日には、実験の主要目的のひとつであるプラズマ電子温度の1億度を実現。実験開始以来、4年目の実験第5サイクルでの達成となった。

1億度という値はヘリカル型装置で達成した電子温度としては世界最高。今回の1億度の実現は、プラズマ電子密度が1立方センチメートルあたり5兆個でのもので、同研究所では成果について、核融合炉条件と同じ粒子衝突の少ない領域でもヘリカル型装置の閉じ込め性能のよさを実証するとともに同装置での磁場閉じ込めに今後の展望を開くものだとしている。ほかに、イオン温度2300万度C、閉じ込め時間0.06秒、プラズマ維持時間0.4秒という条件での達成だった。

これまで、核融合科学研のヘリカル装置は、イオン温度や蓄積エネルギー等といったプラズマの主なパラメーターのすべてで世界最高の数字を実現しているが、現在実施中の実験では1億度の電子温度のほか、イオン温度5500万度C、プラズマ維持時間1万秒、蓄積エネルギー1500キロジュールなどを目標としている。今サイクルの実験は来年2月まで継続して行われる予定だ。


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