[原子力産業新聞] 2001年10月18日 第2108号 <5面>

[原産] 金沢で台湾との原子力安全セミナーを開く

遠藤哲也氏が講演「核物質防護条約の強化を」

「第16回日台原子力安全セミナー」が、石川県金沢市の KKR ホテル金沢で、16日と17日の2日間にわたり開催された。

同セミナーは、日本と台湾の間で原子力安全関連の情報交換と原子力関係者の交流を図るため、1986年以来、日本原子力産業会議と台湾側が毎年日台交互に開催してきたもの。原産は、石原實北陸電力副社長を委員長とする準備委員会を設け、セミナーの内容の検討を行ってきた。今回のセミナーには台湾側から、王時俊核能研究所所長を団長とする23名の代表団が参加した。

16日の午前の開会セッションでは、金井務日立製作所会長 (日本原子力産業会議副会長) が議長を務め、まず、遠藤哲也原子力委員長代理が、「日本の原子力政策について」と題する特別講演を行った。遠藤委員長代理は、我が国の原子力発電と核燃料サイクルの現況、原子力を巡る欧米の動向、日本の核燃料サイクルにおける問題点等を概説し、東アジアでは原子力開発利用が欧米に比べて活発であるものの、政治情勢の故に、関係国・地域が一堂に集まって共通の関心事を話し合う場が限られていると述べ、日台原子力安全セミナー等、民間の場の活用の重要性を訴えた。また、9月11日の同時多発テロ事件を教訓として、現在、国際輸送のみを対象としている核物質防護条約について、その対象に原子力施設への妨害・破壊行為も含めるよう、条約を強化する必要があるとの考えを述べた。

台湾側からは沈禮原子能委員会核管處處長が、「第4原子力発電所の現況」と題する特別講演を行い、第4 (龍門) 原子力発電所をめぐる政策論争の背景、現在までの工事の進捗状況、民進党政権の登場による工事の一時中断とその後の工事再開の現状、第4発電所計画における環境保全計画等を説明した。

セミナーではこのあと、「原子力安全文化と企業文化」「台湾第3原子力発電所全電源喪失事故−原因と今後の課題」「使用済燃料と放射性廃棄物の管理と貯蔵」「安全解析コードの開発」「放射線防護と環境モニタリング」−のセッションで、論文発表とパネルディスカッションが行われ、参加者が活発に意見を交わした。


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