[原子力産業新聞] 2001年10月18日 第2108号 <6面>

[日本原子力発電] 東海炉の廃止措置計画概要

約17年で解体撤去、4つの工程にわけて計画立案

既報の通り、日本原子力発電は商業用炉として国内初となる東海発電所 (GCR、出力16万6000kW) の解体届けを経済産業相に提出した。東海発電所は昭和41年7月にわが国初の商用炉として運転を開始、平成10年3月の運転終了までの累積発電電力量が290億672万kW 時、累積設備利用率は62.9%。今後は、今年12月から一連の工程に着手し、約17年かけて施設の解体撤去を完了する計画だ。今号では、原電が提出した解体届けから、東海炉の廃止措置計画の概要を紹介する。

廃止措置計画は4つの工程で

東海発電所の廃止措置は長期にわたる計画であるため、全体計画で廃止措置計画の概要を示した上で、次の4工程に分割し、各詳細な工程はその都度立案・提 出することとしている。第1の工程は、原子炉領域を隔離して安全貯蔵を行い、放射性物質濃度の減衰を待つ「安全貯蔵工程」。第2と第3の工程は「先行解体工程」で、まず、作業スペース確保等のため、使用済燃料冷却池の洗浄・排水、原子炉サービス建屋領域・燃料取扱建屋領域の設備等の解体撤去を実施する (第1期工事)。続いて、熱交換器解体撤去等を実施。除染設備、放射性廃棄物前処理設備を設置する (第2期工事)。そして第4の工程として「解体撤去工程」に入り、原子炉本体及び生体遮へい体等建屋内の設備を解体撤去後、各建屋を解体撤去する (第3期工事)。

安全貯蔵工程の詳細計画

解体届けの別紙に示された安全貯蔵工程の詳細計画では、放射能レベルが比較的高い原子炉領域を9年4か月にわたり安全貯蔵することとしている。原子炉領域は隔離され、この領域内の設備・構築物はその間撤去しない。すでに使用済燃料は取り出しが完了し、炉内は空気による大気圧状態にある。放射化、汚染の状況は、原子炉本体が運転により放射化された黒鉛、炉内構造物、圧力容器等、また生体遮へい体 (コンクリート) も放射化された状態であるため、今年12月から「平成23年3月まで、系統の弁等を全て閉止した状態で安全貯蔵されることになる。

先行解体工程盛り込む

東海発電所の廃止措置計画には、廃棄物の搬出ルートや廃棄物前処理設備設置エリアの確保、資機材置場の確保など、実際の作業を進めるにあたり、合理的に解体作業を行うため、先行解体の実施が示されている。先行解体工程は第1期、第2期に分けて進められる予定で、別紙に示された詳細計画によると第1期工事では使用済燃料冷却池の洗浄・排水、建屋内設備・燃焼取替機解体撤去など、比較的小規模の工事が実施されることになっている。今年12月から作業を始めて、平成18年3月までに完了させる計画となっている。

廃棄物の処理処分についての考え方

解体によって生じる放射性廃棄物の処理処分に関しては、性状に応じて減容、固化処理後、容器に封入し、最終的には埋設処分する方針。埋設処分先は第3期工事 (原子炉等解体工事) 前までに確定することとし、確定できない場合は、安全貯蔵期間を延長するとしている。なお、第1期、第2期の工事で発生する放射性廃棄物は少量であることから、既設の貯蔵設備で第3期工事を開始するまで一時保管を行う計画だ。

今回の届け出では、4工程のうち「全体計画」、「安全貯蔵工程の詳細計画」、「先行解体 (その1) 工程の詳細計画」が別紙として提出され、「先行解体 (その2) 工程の詳細計画」と「解体撤去工程の詳細計画」はそれぞれの工程着手前に立案・届出を予定している。また、解体届に変更が生じた場合には遅滞なく届け出る事にしている。

解体届けに示された全体計画の主なポイントは次の通り。

廃止措置の全体計画

(1) 計画の概要

  • 東海発電所の原子炉、付属設備及び建屋を解体撤去し、更地の状態に復することを基本とする。
  • 原子炉領域については、約10年間の安全貯蔵の後、解体撤去する。
  • 原子炉領域以外の附属設備等は、安全貯蔵期間開始時点から順次解体撤去する。
  • 廃止措置は、長期 (約17年間) の計画であるため、工程を次の通り分割し進める。

(2) 工程

第1期工事 平成13年度〜17年度 (約5年間)

  • 準備工事、使用済燃料冷却池洗浄・排水、燃料取替機・タービン他附属設備撤去等第2期工事 平成18年度〜22年度 (約5年間)
  • 熱交換器他附属設備解体等第3期工事 平成23年度〜29年度 (約7年間)
  • 原子炉本体解体、各建屋解体等

(3) 着手予定時期

平成13年12月4日

(4) 放射性廃棄物の処理処分方法

  • 解体で発生する放射性廃棄物は性状に応じて減容、固化等の処理後、容器に封入し、最終的には埋設処分する。
  • 埋設処分先は第3期工事 (原子炉本体等解体工事) 前までに確定することとし、確定できない場合は、安全貯蔵期間を延長する。
  • 第1期及び第2期工事で発生する放射性廃棄物は少量であり、既設の貯蔵設備で第3期工事を開始するまで一時保管を行う。

2.第1期工事の計画 (略)

3.廃止措置に要する費用

  • 見積り総額は、約930億円。

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