[原子力産業新聞] 2001年11月8日 第2111号 <1面>

[原子炉安全・保安院] 東海炉の解体届け、「支障なし」

日本原子力発電に通知

原子力安全・保安院は1日、日本原子力発電東海発電所の解体届の審査結果をとりまとめ、作業工程や廃棄物の処理処分等の安全性を含めた届け出内容について特段の問題はないとして、日本原子力発電にその旨を通知した。これにより、今年12月に東海原子力発電所は、わが国の商業用原子力発電所として初めて本格的な廃止措置の段階を迎えることになる。

廃止措置の工程は約17年間の長期にわたるため、今回は、全体計画と安全貯蔵及び先行解体 (その1) の詳細計画が提出され、審査が行われた。それぞれの申請内容は、用いられる工法の妥当性や、周辺環境への影響や従業員被ばくなど安全性の評価、資金面の問題などの面で、関係法、指針等に照らして審査され、「全体計画及び詳細計画 (安全貯蔵工程及び先行解体 (その1) 工程) は、核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物及び原子炉による災害を防止する上で支障のないものと認められる」としている。

今後、東海炉の廃止措置は今年の12月4日から始まる予定で、完了期日は、2018年3月を予定している。汚染の度合いが高い原子炉本体などは約10年間、安全貯蔵を行って放射能のレベルが減衰するのを待つ。その間に作業スペースを確保することを含めて作業の効率性等を考えて先行解体工程が2期に分けて進められていく計画だ。安全貯蔵期間を経た後に、原子炉本体や生体遮へい体等の解体撤去が実施される計画で、先行解体 (その2) と解体撤去工程に関しては作業の進捗をみて、詳細計画の審査を行うこととなっている。

なお、解体により生じてくる廃棄物には、一般の廃棄物と同等に扱えるコンクリート等の廃材からなる廃棄物がほとんどであることから、いわゆる放射性廃棄物規制除外 (クリアランス) レベルの具体化が今後、ひとつの焦点となってくる。海外ではすでにイギリス、ドイツ、スウェーデン、フィンランドなどで、クリアランスレベルが制度化され、実際に埋立処分および再利用に適用されている。日本では、1987年の放射線審議会基本部会報告の中で、放射性廃棄物の浅地埋設の規制除外線量は年間個人線量で10マイクロシーベルトが妥当とされている。1997年5月から原子力安全委員会において主な原子炉施設におけるクリアランスレベルの濃度基準が検討されている。


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