[原子力産業新聞] 2001年11月8日 第2111号 <1面>

[原産] 鹿児島で日仏原子力専門家会合

将来炉に真剣な取組を

日本とフランスの原子力関係者は1日と2日の両日、日仏原子力専門家会合「N-20」の第8回会合を鹿児島市で開いた。両国の原子力開発の現状を踏まえ、原子力市場の需要と動向、地球温暖化問題と原子力、先進的技術開発、国際協力、プルトニウムリサイクルと将来展望、燃料サイクルバックエンド − といった分野をめぐって情報や率直な意見の交換が行われた。

今回会合に参加したのは日本側から秋元勇巳三菱マテリアル会長をはじめとし、電力会社やメーカーなどから10名。フランス側はP.コロンバニ原子力庁 (CEA) 長官を団長として、CEA、電力公社などの関係者10名が出席した。日本からほかに、遠藤哲也原子力委員長代理、山田英司資源エネルギー庁核燃料サイクル産業課長、竹内榮次核燃料サイクル開発機構副理事長らが部分参加した。

日仏両国参加者は2日間の会合を終えて共同声明を発表した。それによると、双方の参加者は、原子力発電の積極的な貢献なくしては温暖化問題とエネルギー安全供給の解決は難しいとした上で、将来は米国や途上国も加わった世界的な枠組みの構築を模索することが必須だとしているほか、電力市場自由化の流れの中で、原子力発電は、安全性や廃棄物対策は当然のことながら、競争力向上に向けた研究開発と規制の高度化が求められるとの認識で一致した。

現在世界的に動きが見られる将来型炉の開発でも両国での状況について説明がなされた。特にフランス側は今後、ガス炉開発への取組みを強化していきたいとの意欲を示した。加えて、使用済み燃料の低減とプルサーマルの積極化を進めていることを明らかにした。

さらに、原子力施設に対するテロ行為が意見交換の議題にあがり、社会の不安を払拭するためには原子力施設の安全に関する深層防護設計を国民に十分理解してもらうことが重要だとの考えで一致した。


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