[原子力産業新聞] 2001年11月8日 第2111号 <2面>

[アイソトープ協会] 設立50周年を祝う

白川英樹氏ら招き記念講演会開く

今年創立50周年を迎えた日本アイソトープ協会は5日、都内で記念式典ならびに科学講演会を開催した。

冒頭挨拶に立った田畑米穂同協会会長代行は、1951年の協会発足以来、甲賀研究所や滝沢研究所の開所、武見記念展示館の開館、仁科記念サイクロトロンセンターの設置といった節目となった出来事を振り返りながら、今年を更なる発展のきっかけにしたいと述べた。その上で、アイソトープ協会はRIの頒布や線源取扱い技術の普及等の役割に加え、研究用・医療用RI廃棄物の一元的集荷管理の業務が増える一方、今後はこうしたRI廃棄物の処分実施などへ環境整備事業がますます重要になると指摘。それに伴い協会に与えられた社会的責任と資金的負担が増大していくことは明らかだとして、今後に向けた課題解決が急務だとの認識を示した。

この後、遠山敦子文部科学大臣や坂口力厚生労働大臣からの祝辞披露が行われたのに続き、伊藤正男理化学研究所脳科学総合研究センター長による「脳を知る」、および白川英樹筑波大学名誉教授による「私の研究における偶然と必然」と題する特別科学講演が行われた。

特に白川氏は講演の中で、自らのノーベル化学賞受賞の対象である導電性高分子物質開拓の基礎となった薄膜状ポリアセチレンの合成について、当時東京大学の田畑米穂氏のもとで研究を行うため来日し、東京工業大学で白川氏と研究を共にしていた韓国原子力研究所の辺氏が触媒の分量を誤って加えたことがきっかけとなって実現した逸話を紹介。こうしたことが「偶然とも言えるが結局必然ではなかったか」とした上で、白川氏とともにノーベル賞を共同受賞した米国の研究者2名もそれぞれ違う分野から同一の高分子を見つめて科学を発展させてきたとし、自らの研究業績にこれらの「違った組織・分野の研究者との出会いが重要な役割を果たした」と強調した。


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