[原子力産業新聞] 2001年11月8日 第2111号 <3面>

[ウクライナ] 既存炉の運転寿命延長へ

100万kW級で10〜15年
関連法規の改正を検討

国際チェルノブイリ・センターが10月29日に伝えたところによると、ウクライナの原子力発電公社 (ENERGOATOM) はこのほど国内の原子力発電所の運転寿命を延長する計画を公表した。

同公社の設立5周年を祝う席で記者会見したY.ナダシュコヴィスキー総裁は、1億5000万ドルの予算で100万kW級の VVER の運転寿命を10〜15年延長することは十分可能との試算結果を提示。すでにロシアの原子力公社との共同計画書も策定済みであることを明らかにした。

ウクライナでは4つのサイトで13基の原子炉が稼働中で、同国における総発電電力量の約45%を供給している。設計上の運転寿命が30年間であるため、現時点の余寿命は12〜20年ということになっており、これらの延長には関連法規の改正が必要になる。

政府は今年初頭、原子力発電施設の中で安全性を改善すべき優先分野についてまとめた2010年までの「国家科学エンジニアリング概念」を承認。この概念で既存法規の全体的な変更が必要になる部分として、次のような点を指摘していた。すなわち、(1) 原子炉の運転寿命を延長する手順と手続き、および信頼性と安全性の適切な指標を特定する (2) 運転寿命の延長決定、設計寿命を越える操業や寿命延長後の廃止措置のための要求項目の基礎となるような新たな基準および規制を導入する (3) 認可、管理、試験、コンピュータのコードやモデルおよびメソッドの検証と確認、管理システムと従業員の認証、安全性関連機器とシステムの定量的、品質的な信頼性と安全性の指標となるものの特定、などについて新たな規則と基準を策定する (4) 原子炉はエンジニアリングと放射線に関して包括的な試験などを含め安全性の再評価と分析を実施する (5) 原子炉の安全状態や計画中の設計手法で安全上の欠陥が特定されるような情報システムを創設する−など。

ただし、同公社が現在最優先で目指しているのはフメルニツキおよびロブノ発電所の新規原子炉2基の完成と、ザポロジエに建設した乾式使用済み燃料貯蔵施設の営業運転開始。同公社では特に、使用済み燃料貯蔵施設の試運転開始を「飛躍的な前進」と評価しており、すでに8月と9月に最初の使用済み燃料コンテナ3基が搬入されたことを明らかにしている。


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