[原子力産業新聞] 2001年11月8日 第2111号 <3面>

[ドイツ] 環境相、全原発で品質管理の再点検指示

ドイツ連邦政府のJ.トリッティン環境相は10月24日、国内で稼働する全原子力発電所の品質管理手順を再点検するよう各州の原子力安全当局に指示した。

これは8月にドイツ南部バーデン・ビュルテンベルク州にあるフィリップスブルク原子力発電所2号機 (142万4000万kW、PWR) で国際原子力事象尺度 (INES) でレベル0の事象が発生した後、多重防護の原則に反する行為があったとして10月22日に評定がレベル2に引き上げられたのが原因。

国際原子力機関 (IAEA) が公表した INES の報告書によると、同炉が8月12日に運転を再開した時、4基ある非常用ホウ酸水貯蔵タンク内のホウ酸水レベルはそれぞれ12.5メートル、10.8メートル、10.6メートル、および9.3メートルで、いずれも一次系の圧力が10バールを超えた場合の技術仕様規定である「最低でも12.6メートル」に達していなかった。しかし、同発電所を操業するエネルギー・バーデン・ビュルテンベルク (EnBW) 社の従業員は制御室のアラームを無視。原子炉が準臨界状態であるホット待機条件のままホウ酸水の補給を行い、その後2週間にわたって通常の運転を続けたとしている。


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