[原子力産業新聞] 2001年11月15日 第2112号 <1面>

[中部電力] 浜岡1号機、CRD貫通部からと判明

中部電力の浜岡原子力発電所1号機 (BWR、出力54万kW) で9日発見された原子炉圧力容器の水漏れは、制御棒駆動機構 (CRD) を収めるハウジングと呼ばれるケースと圧力容器を溶接した部分からであることが10日の中部電力の調査で判明した。圧力容器に近い部分での損傷であるため、事態を重視して原子力安全・保安院は9日にタスクフォースを設置し原因調査と再発防止策の検討などに入った。

同1号機は定格出力運転中の7日午後5時2分に、非常用炉心冷却系の一部である高圧注入系 (HPCI) の手動起動試験を実施したところ、HPCI が停止するとともに、原子炉建屋の数か所で火災報知器が作動したため、現場を確認し、火災でないことを確認したうえで、原子炉建屋内における蒸気漏えいの可能性があることから原子炉を手動停止した。

中部電力はその後、高圧注入系から余熱除去系熱交換器に分岐している蒸気配管の曲がり部の破断が原因であると判断して原因調査を進めていた。9日までに格納容器の点検を実施したところ制御棒駆動機構一本の下部付近から数秒に一滴程度の水が滴下しているのを発見したため、10日に当該 CRD を詳細に点検し、原子炉圧力容器下部と CRD ハウジングの貫通部にハウジング表面を伝う水を発見。このため、13日から中部電力は原因の詳細な調査に入り、調査に必要な配管の切断を行い、テストピースの採取、破面の観察等の作業に着手した。また、定格出力で運転中の浜岡2号機 (BWR、出力84万kW) についても、今回の余熱除去系蒸気配管の損傷箇所と同じ部位の点検を行うこととし、13日に停止した。

なお、今回の熱除去系蒸気配管の損傷および漏水等による放射能漏れ等の外部への影響はみられていない。

一方、原子力安全・保安院では、9日に広瀬審議官を責任者とするタスクフォースを設置。タスクフォースでは、類似プラントについての調査や原因究明のための検討、原因を踏まえた再発防止対策の確立 −の3点について作業に入った。また保安院は、中部電力が詳細調査を実施するにあたって、亀裂開始点の特定及び亀裂の進展状況の把握ができるようテストピースの採取場所を定めることや、慎重な破面観察を行うこと、破裂部位の内面についても十分な観察を行うこと等に留意するよう同社に対し指示した。

原子力安全委員会も13日、原子力事故・故障調査専門部会を開き、今回の問題について審議を行い、作業部会を設け早急に現地調査を実施することを決めた。


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