[原子力産業新聞] 2001年11月15日 第2112号 <2面>

[NSネット] 原研、東海研を評価

「安全確保へ姿勢継続を」

ニュークリアセイフティーネットワーク (NSネット) は2日、日本原子力研究所・東海研究所を対象とした相互評価 (ピアレビュー) の結果を公表した。

ピアレビューは、同ネットの会員の専門家からなる「レビューチーム」が会員の事業所を相互に訪問し、原子力安全に関する会員間の共通課題について相互評価を実施して課題の摘出や良好事例の水平展開などをおこない、お互いに持っている知見を共有して原子力産業界全体の安全文化の向上をはかる、NSネットの中心的制度。これまで燃料加工施設や原子力発電所を対象に行われており、結果については随時ホームページ上などで公表されている。

今回16番目のレビュー結果として発表されたのは、日本原子力研究所東海研究所を対象に、9月18〜21日までの日程で行われた時のもので、四国電力、三菱電機、東京電力、東芝、グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンおよびNSネット事務局からなるレビューチームが、「組織・運営」、「緊急時対策」、「教育・訓練」、「放射線防護」(以上、全施設対象) および、「運転・保守」、「放射線防護 (廃棄物関係除く」、「重要課題対応」 (以上、JRR-3) の分野について、現場視察、関係者との面談および、書類確認によるレビューを実施した。

調査の結果、レビューチームは「直ちに改善措置を施さなければ重大事故に繋がるような項目は見いだせず」「所長をはじめ全従業員が一体となり、原子力安全確保を継続・強化していくために真剣に取り組んでいる実態が確認された」「わが国の原子力事業者の模範となることへの意識が強く感じられた」と結論付けるとともに、同研究所に対して、現状に満足することなく、なお一層の安全文化の情勢を目指してさらなる自主努力を継続することと、今回のレビューで得られた成果が、原研の他の研究所や協力会社に対しても展開されることを期待するとしている。

また、同研究所の良好事例として (1) 原子力事業所安全協力協定 (ノア協定) による各原子力事業所の安全確保 (2) 総合防災システム等の整備による防護活動の充実・強化 (3) 国際基準に沿った個人被曝線量評価手法の確立と運用 (4) 研究炉運転経験の国内外における情報交換・提供 −など18件を挙げ、一方、操業の安全性をさらに向上させるために「防災業務計画等に係わる協力会社への一層の発信」、「各施設『運転手引き』間の異常時等の通報・連絡インターフェイスの明確化」および、「崩壊熱除去運転経験等の『運転手引き』等への更なる反映」など、合計5件を挙げている。


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