[原子力産業新聞] 2001年11月22日 第2113号 <1面>

[FNCA] 29日に東京でアジア原子力協力フォーラム会合

持続的発展など課題を協議へ

第2回アジア原子力協力フォーラム (FNCA) 本会合が29日に東京・港区の高輪プリンスホテルで開かれる。FNCA は我が国が主導する原子力平和利用の地域協力推進のための枠組みで、我が国や近隣アジアの加盟国から原子力担当の大臣級参加者らが一堂に会し、持続可能な発展に原子力の果たす役割や放射線利用分野での協力などで意見を交わす。

FNCA の本会合は昨年11月のタイ・バンコクでの開催に続き2度目。会議には、我が国のほかオーストラリア、中国、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの9か国が参加する。大臣レベルで来日するのは、張華祝・中国国家原子能機構主任、H.ラジャサ・インドネシア研究技術大臣、金榮煥・韓国科学技術部大臣、ロウ・マレーシア科学技術環境大臣ら。この他の国からは副大臣らが出席するほか、各国原子力研究所の所長なども加わる。

29日の会合では、参加各国の原子力開発利用の現状に関する発表に続いて、「持続可能な発展と原子力」や「放射線利用分野での協力のあり方」をテーマとするラウンドテーブル・ディスカッションが行われる予定だ。

持続可能な発展における原子力の役割については、エネルギーセキュリティ・環境保全・経済成長のいわゆる3E達成に向け、各国がエネルギー需給の見通しを示すとともに、その中でどう原子力を位置づけていくかをめぐり討議する。また、各国に共通する分野である放射線利用での協力については、放射線利用の普及と新産業の創出や、利用促進への技術移転・技術定着に関する人材養成、研究協力といったことを中心に意見交換を図る。

前日の28日には参加国の上級行政官による会合が開かれる予定。大臣会合に向けた意見の事前調整や、これまでの FNCA における協力活動の成果を踏まえた議論が行われるほか、新規協力活動や参加国どうしの二国間協力との連携なども議題として扱われるもようだ。

今年3月の FNCA コーディネータ会合では参加各国間でパートナーシップの意識が高まっている点が確認された。いかに地域協力を実効性のあるものにしていくか、29日からの会合でも一層深みのある議論が期待されるとともに、アジア地域の原子力平和利用協力を協議する場として唯一の FNCA 高級会合で得られる共通認識を世界に向けて発信していくことも重要な課題だ。


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