[原子力産業新聞] 2001年11月22日 第2113号 <3面>

[米・DOE] 2020年までのエネ予測公表

原子力設備、上方修正

米国エネルギー省 (DOE) のエネルギー情報局 (EIA) は14日、毎年改訂している年次エネルギー予測の2002年版を公表し、同国における2020年までの原子力発電設備容量を前年版の予測から上方修正したことを明らかにした。

EIA が昨年まとめたエネルギー予測では、「ほかの発電技術との経済性比較により2020年までに新たな原子炉が建設されることはなく、原子力設備容量は次第に下降していく」となっていた。しかし今回 EIA は、2000年に9800万kW だった原子力設備は2020年には1000万kW 分の原子炉閉鎖により8800万kW に減少すると予測。99年の設備9700万kW が2600万kW 分の閉鎖によって2020年に7100万kW まで減少するという昨年予測を22%上方修正する結果になった。主な理由として EIA は、既存原子炉の運転継続に要する費用の評価額を下方修正するとともに、天然ガスの価格を前回より高く見積もったことを挙げている。ただし、「2020年まで新規原子炉は建設されない」との見方に変更はない。

EIA の調べによると、米国経済は現在減速傾向にあり、歯止めがかかるのは2002年の中頃。2020年までに年平均3%で回復していくものと予想しているが、エネルギー需要量は商業部門と輸送部門の両方で昨年予測を上回る結果になった。2000年に99×1015 BTU (英国熱量単位=1BTU=0.2520キロカロリー) だった米国の総エネルギー需要は2020年には昨年予測より4×1015 BTU 増えて131×1015 BTU に達すると見込まれており、2020年までの増加率は1.4%/年、電力需要の増加率は1.8%/年となっている。

このほか EIA は、2000年から2015年までに平均電力価格が競争の激化と石炭価格の下落によりキロワット時あたり6.9セントから6.3セントに下降すると予想。その後、天然ガス価格の上昇により2020年までには6.5セント/キロワット時に戻るとしている。今後も石炭火力が米国の主要電源であることには変わりはないものの、シェアは2000年の52%から2020年には46%に低下。昨年予測と比べると、石炭火力、原子力、再生可能エネルギーによる2020年の発電量は増加する一方、天然ガス火力は燃料費の高騰により減ると見込まれている。

米国の CO2 排出量については2020年に20億8800万トンに達すると予想され、90年の排出レベルから54%高くなる模様。この予測値は輸送部門のエネ需要が特に高まったため昨年の値より2%増えているが、国内総生産 (GDP) 1ドルあたりの CO2 排出量で計算した経済の炭素強度は2020年までに年平均1.5%に下がることになると説明している。


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