[原子力産業新聞] 2001年11月29日 第2114号 <4面>

[日本原子力発電] 電動弁作動の診断装置を開発

保守作業を大幅に効率化

日本原子力発電は26日、原子炉への給水などを行う電動弁が正常に働いているか否かを、プラント停止中はもちろん、運転中の診断も可能にする装置を、日本ギア工業の技術協力を得て開発したと発表した。

「MOVDAS」と名付けられたこの装置は、電動弁駆動部に内蔵させたトルクセンサーの信号をコンピュータ解析することにより、高精度な故障診断と劣化傾向管理を行うシステム。原子力発電所には1基あたり、約300台 (うち80台程度は安全系) の電動弁が設置されているが、その点検方法は従来、多数 (12個) の外付けセンサーの設置を要するなど非常に手間のかかる作業で、1日2台程度の診断を行うのがせいぜいとされていた。

MOVDAS は、定期検査中に電動弁の一部に取り込んだトルクセンサーが検出した信号を、専用ソフトウェアによるコンピュータ解析することにより診断を行うため、弁に手を触れることなくコネクター接続のみで状態監視および傾向管理が可能となり、運転状態での弁の診断が可能になるほか、(1) 弁体と駆動装置の一括診断が可能 (2) 設計べースでの性能を評価 (3) 診断方法を、弁のコンディションに応じて点検を行う「状態監視保全」へ移行出来る (4) 傾向管理による部品寿命予測が可能 (5) 運搬が容易で外部電源も不要などの特長を有し、定検の短縮、保全費・人件費の削減を安全に実現するばかりか、作業員の被曝低減にも大いに貢献する。

装置は、他の産業界で使われる電動弁にも適用が可能。原電では、今後同装置を商品化し、同社各発電所の主要電動弁に導入するとともに、原電事業を発売元として、市販を行う予定としている。


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