[原子力産業新聞] 2002年1月7日 第2118号 <3面>

[スイス] 世論調査、2/3が再処理に賛成

政府方針とは明確な隔たり

先月、スイス原子力協会 (SVA) が伝えたところによると、最新の世論調査でスイス国民の3分の2以上が政府の計画に反して使用済み燃料の再処理オプションを維持した方がよいと考えていることが明らかになった。

この調査は昨年10月にスイスで原子力発電所を所有する電力会社の委託により独立の市場調査機関であるデモスコープがスイスの15歳以上の国民を対象に実施したもの。その結果、質問されたスイス人の69%が使用済み燃料の再処理は今後も可能にすべきだと答えていたことが判明しており、原子力法の一部を改正して既存の再処理契約が完了した時点で再処理禁止導入を計画する連邦政府とは明確に意見を異にしているという事実が露呈した。その他の主な結果は次の通り。

(1) アンケートに答えた国民の4人のうち3人は、スイスの電力需要の約4割を賄う原子力発電所は安全だと信じており、5人のうち4人までが「スイスの原子力発電所は諸外国の発電所より安全」と答えている。

(2) 国民の3分の2以上か、原子力発電所の運転寿命を決める場合は運転年数ではなく施設ごとの安全性を決定ファクターにすべきだと考えている。その一方で、原子力発電所を直ちに閉鎖すべきだと答えたのは12人中わずか1人に過ぎなかった。

(3) 4人中3人の割合で新規原子力発電所の建設計画は直接国民投票にかけるべきだと回答。

(4) 回答者の大多数は放射性廃棄物の処分問題に懸念を抱いているものの、3分の2近くはこの問題を国内で解決することは可能との認識を示している。

(5) 3人のうち1人の割合で、原子力発電は温室効果ガスをまったく出さないため地球温暖化防止に主要な役割を果たせることを知っていた。

なお、先月2日に同国で行われた国民投票では、原子力と大型水力を含むすべての非再生可能エネルギー源に対する課税を盛り込んだ国民発議が77.1%という圧倒的多数で否決されている。賛成票を投じた国民の割合はわずか22.9%で、26の州すべてで明確な反対の意志が示される結果になった。


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