[原子力産業新聞] 2002年1月10日 第2119号 <2面>

[原子力安全・保安院] 5事業者に柏崎刈羽5のトラブル受け対応を指示

原子力安全・保安院は昨年12月28日、同年7月、9月に発生した東京電力・柏崎刈羽原子力発電所5号機で制御棒手動操作系の制御基板不良により一時的に制御棒が動作不能となったトラブルヘの対応を明らかにした。

原子力発電所の電子制御機器で使用される半導体集積回路が電気的に断線を引き起こすエレクトロマイグレーションと呼ばれる現象が、今回のトラブルの原因との判断にたち、類似のトラブルが発生する可能性のあるプラントをもつ中部、北陸、中国、日本原子力発電の各電力会社と、サイクル機構に対して必要な安全評価と適切な保守管理計画の立案等の対応を行い、同院に報告するよう指示した。

エレクトロマイグレーションは、電子がアルミニウム原子に衝突して電気的に断線を引き起こす現象。東京電力ではこうした原因究明と安全評価を行い、安全等に影響するようなシステムに使われている同型の集積回路を交換するなどの対応をはかっている。

柏崎刈羽5号機での制御棒の動作不良は7月から9月にかけて3回発生したもので、いずれも、保安規定で規定される運転上の制限 (LCO) の逸脱に当たるが、同規定で規定される許容時間 (AOT内) で措置が完了したため、同規定上許容されるものだった。ただ、同一のトラブルが連続したため、同院は、東京電力に対して原因究明と対策の指示をしていた。


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