[原子力産業新聞] 2002年1月10日 第2119号 <3面>

[スウェーデン] 国民の8割が原子力を支持

温暖化防止効果でも評価

昨年11月にスウェーデンで実施された最新の世論調査で、国民の8割近くが原子力発電の利用を何らかの形で継続していくべきだと考えていることが明らかになった。

この調査は同国の原子力安全および訓練組織に関する分析グループ (KSU) の依頼で意識調査機関であるテモ社が一般市民千人を対象に行ったもの。KSU では原子力に対するスウェーデン国民の認識は1年前の調査結果とほぼ変わっていないと分析している。

バーセベック2号機の早期閉鎖などを含め、規制当局による安全性評価の如何に拘わらず原子力発電から撤退すべきだと回答した国民の割合は19%に留まった。一方、37%の人々が現在国内で稼働する原子炉11基は安全性やコストに係わる理由で閉鎖を余儀なくされるまでは継続して操業すべきだと答えている。また、28%は既存炉の操業継続に加えて、それらが運転寿命を迎えた場合は新たな原子炉で取り替えるべきだとの見解を表明。このほか、「必要なら新規の原子炉を追加で建設し、さらなる原子力開発を推し進める」よう望むスウェーデン国民の割合は11%にのぼることが明らかになっている。残りの4%は「わからない」という回答だった。

調査ではこのほか、スウェーデン議会が環境保全に関して設定した3つの目標についても質問。75%の人が「温室効果ガスの排出増加をくい止めるという目標が最も重要」と答えており、地球温暖化問題に対する同国民の意識の高さを伺わせた。2番目に多かった回答は水力発電所開発に伴う河川の保護で、12%の人がこの項目を選択。「原子力発電からの撤退」を挙げた人はわずか10%に留まった。なお、男女の意識を比較すると、2倍の割合で女性の方が男性よりも原子力に対して否定的という結果がでている。

労組も原子力容量拡大を要望

昨年末にスウェーデンの大手日刊紙「Dagens Nyheter」が掲載した記事によると、同国の電力、電算、サービス/輸送/テレコムなど3部門の全国労働組合代表も新規原子力発電設備の建設を要望している。

これらの業界では業務用の電力が不足することを危惧しており、原子力容量の拡大こそこの問題を緩和する最良の方法だと訴えているもの。なお、この要望は野党保守党の見解とも一致することから、同党代表が「思慮分別のあるエネルギー政策を目指していく」ことで労組に協力を働きかけたと伝えられている。


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