[原子力産業新聞] 2002年1月17日 第2120号 <2面>

[NSネット] サイクル機構東海でピアレビュー

情報公開、説明責任など評価

ニュークリアセイフティーネットワーク (NSネット) はこのほど、茨城県那珂郡東海村にある核燃料サイクル開発機構東海事業所を対象とした、相互評価 (ピアレビュー) の結果を公表した。

ピアレビューは、同ネットの会員の専門家からなる「レビューチーム」が会員の事業所を相互に訪問し、原子力安全に関する会員間の共通課題について相互評価を実施して課題の摘出や良好事例の水平展開などをおこない、お互いに持っている知見を共有して原子力産業界全体の安全文化の向上をはかる、NSネットの中心的制度。これまで燃料加工施設や原子力発電所などを対象に行われて来ている。

今回対象となる東海事業所は、プルトニウム燃料および再処理に係わる研究開発の拠点であると同時に、高レベル放射性廃棄物処理処分などの研究開発を行う施設。今回のレビューでは、科学処理プラントであり多量の核燃料物質および核分裂生成物を扱っているといった再処理施設の特徴とともに、過去のアスファルト固化処理施設火災・爆発事故の発生や、JCO 事故の発生を踏まえて (1) 火災・爆発事故再発防止に向けた取り組み (2) 臨界事故発生防止に向けた取り組み (3) 従事者の被曝低減に向けた取り組み (4) 多種多様な放射性廃棄物の管理 −などにポイントを置いて、中国電力、三菱原子燃料、日立製作所、日本原燃、関西電力、NSネット事務局からなるレビューチームが、組織・運営、緊急時対策、教育・訓練、運転・保守、放射線防護・化学管理、重大事故防止について、現場観察、関係者との面談および、書類確認を行った。

調査の結果、レビューチームは「直ちに改善措置を施さなければ重大事故に繋がるような項目は見いだせなかった」とするとともに、「アスファルト火災・爆発事故、廃棄物問題などの様々な事故・トラブルを教訓として、種々の安全対策を講じるなど、協力会社も含めて原子力安全確保を継続・強化していくために真摯に取り組んでいる実態が確認された」事を明記。また加えて、再処理施設の運転において「安全最優先を実践するために日頃より職員にメッセージを発信していることや、情報公開・説明責任を果たすことに努めている姿勢が確認された」としている。

さらに良好事例として (1) リスクコミュニケーション研究班の設置による積極的な地域との情報交流 (2) 労働安全衛生マネジメントシステムをはじめとした国際認証取得への取り組み (3) 「運転要領書」の整備と作成、改訂時の外部専門家も含めたチェック体制の充実 −などを挙げ、一方、操業の安全性をさらに向上させるために「事故・トラブル時における見学者対応のためのガイドの作成」、「再処理施設の運転・保守に係わる文書・手順書体系の更新」および、「消化設備を記載した図面の通報設備付近への掲示」などを挙げている。


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