[原子力産業新聞] 2002年1月17日 第2120号 <3面>

[米国] エネ省、ユッカマウンテンを大統領に勧告へ

地元州に事前通知

米国エネルギー省 (DOE) のS.エイブラハム長官は10日、ネバダ州ユッカマウンテンを使用済み燃料など高レベル放射性廃棄物 (HLW) の最終処分場建設候補地としてブッシュ大統領に勧告する考えであると地元ネバダ州のK.グイン知事および同州議会に通達した。今後エイブラハム長官は放射性廃棄物政策法の規定に従い、最低30日が経過してから実際の勧告を行うことになる。

DOE からネバダ州への通知は書簡と電話の両方で行われたが、エイブラハム長官はその中で「ユッカマウンテンは米国の放射性廃棄物を深地層に処分する計画にとって科学的に健全なサイトであり、技術的にも適切だ」と断言。最終処分場を建設することは米国の国家保障に役立つだけでなく放射性廃棄物の安全な処分を保証するほか、清浄な環境を保全しエネルギーの供給保障を支援するとの認識を表明している。

同長官はまた、大統領に提出する包括的な勧告声明には判断の根拠を文書で添付するとしており、処分場の建設計画を進めていくことは国家の利益のためにも必要不可欠と強調。具体的な理由として次の4点を指摘している。すなわち、(1) 核不拡散という国家目標を達成したり海軍の原子力船を効率的に航行させるには、不要な核兵器の解体から生じる使用済み燃料や原子力船の燃料、その他の廃棄物の処分場所を確保することが国家保障上重要 (2) 処分場抜きでは使用済み燃料や高レベル放射性廃棄物 (HLW) および余剰プルトニウムを完全に処分する方法が無く、現在これらは39の州にある131箇所で保管中。テロリストの攻撃を避けるためにもこれらを人口密集地から離れた地下にまとめて処分することは非常に重要 (3) 現在米国の電力需要の2割を賄う原子力発電は国産エネルギー源の一部として今後も必要で、原子力によるエネルギー供給を確保していくために処分場は必要 (4) 軍事利用に伴う廃棄物サイトを永久に浄化し、その他のHLWも安全に処分するなど環境保全の観点からも処分場は重要。

DOE 長官が実際に勧告した後、もし大統領がこれを受け入れれば DOE は正式な認可申請書を作成して米国原子力規制委員会 (NRC) に提出することができる。一方、ネバダ州は大統領の決定に対して60日以内に異議を申し立てることが可能で、その場合、議会は90日の審議期間に大統領決定を支持して州の異議を却下するか否かを上下両院で票決することになる。


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