[原子力産業新聞] 2002年1月17日 第2120号 <4面>

[原産] 2000年度原子力産業実態調査

電気事業・支出額2兆円超す

日本原子力産業会議は16日、2000年度の原子力産業実態調査結果をまとめ、発表した。それによると、電気事業の支出がはじめて2兆円を超えたことが明らかになった。そのうち、運転維持費が前年度に比べ15%増加を示し、試験研究開発費も5年ぶりに増加を示す調査結果があらわれた。一方、鉱工業分野では重要となる受注残高が前年度に比べて4%減少するなど、厳しい状況に変化は見られなかった。調査対象は2000年度に原子力関係の売上や支出、従事者を有するなど、何らかの実績があった企業で、電気事業11社、鉱工業341社、商社28社へのアンケート調査に基づいてまとめられた。

電気事業における支出動向を見ると、原子力関係総支出高は前年度と比べ1340億円増加して2兆197億円にのぼった。2年連続での増加になり、1958年の集計開始以来初めて2兆円台に達した。このうち、運転維持費は前年度より1385億円増えて1兆503億円だった。すべての支出に占める割合も50%を超えた。2000年度から新たに高レベル放射性廃棄物処分に向けた原子力発電環境整備機構への拠出金も運転維持費を押し上げたと考えられる。また、これまで運転基数の増加とともに増えてきていた核燃料費は昨年度は5年ぶりに減少。前年度比6%減の4558億円にとどまった。

一方、電気事業の試験研究開発費としては506億円が投入された結果95年からの減少傾向に歯止めがかかったことが明らかになった。

鉱工業に目を転じると、原子力関係売上高は前年度より2%少ない1兆6385億円を示している。部門別では、建設・土木部門と燃料サイクル部門が前年度比でそれぞれ、36%と22%増加を見せた。鉱工業の総支出高は1兆8105億円で2年連続で増加しているが、今後5年間は減少する見込みだと、今回の調査は分析している。さらに、鉱工業での研究支出は3年連続で減少。依然、新たな研究施設の建設などへの投資を手控えている状況だ。

鉱工業の受注残高については、前年度に比べて4%減少の2兆2636億円となり、ここ10年間で最低の水準を示すなど、一層厳しい状況が明らかになった。

今回の原子力産業実態調査では、鉱工業分野における売上見通し、輸出実績や計画などについてアンケートをあわせて実施した。回答からは、今後数年間、売上は横ばい傾向が見込まれるとしているほか、輸出計画について回答した企業のうち50%の14社が輸出量が今後増加するだろうとの見通しを示している。


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