[原子力産業新聞] 2002年1月31日 第2122号 <2面>

[新著] トリウム炉を提言

「世界のエネルギー問題の解決に、果して原子力発電所が本当の答えを提示できるのか?」。

元東海大教授でトリウム溶融塩国際フォーラム」代表の古川和男氏は、昨年出版した著書「『原発』革命」(文春新書、233頁、定価700円)の中で、この問いに対し従来型とは違う技術的発想をもとに、大胆な提言を試みている。

同氏は、化石燃料の利用は地球温暖化を悪化させ自然エネルギーの供給にも限界がある点を直視すれば、原子力発電所こそがエネルギー問題の現実的な解決策だと主張する。

だが、そのためには「より良い原発」を求めて、従来の原子力発電の常識を破る革命がもたらされなければならないと訴える。

つまり、原子炉に液体燃料を用い、ウランに代えてトリウムの利用を進めることが最も合理的だという。

その核となるのが新しい概念の原子炉「FUJI」だと、同氏は語る。「決定的に安全でプルトニウムの消滅も可能な」小型のトリウム溶融塩炉「FUJI」が開発され世界的に展開していけば、21世紀に突きつけられた環境問題を解決する原子力発電が可能だとの独自の理論を繰り広げている。


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